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【国際】

6カ国協議復帰 伝達 正恩氏 習主席と会談

北京の人民大会堂で握手する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)と中国の習近平国家主席=新華社・共同

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 【北京=城内康伸、浅井正智】中国国営新華社通信と北朝鮮の朝鮮中央通信は二十八日、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が二十五〜二十八日に習近平(しゅうきんぺい)中国国家主席の招きで非公式に訪中し、二十六日に北京の人民大会堂で習氏と会談したと報じた。中朝関係筋は、正恩氏が習氏に、核問題を巡る六カ国協議に復帰する意思を伝えたことを明らかにした。同協議は二〇〇八年十二月の首席代表会合を最後に中断。再開すれば核問題は対話を通じた解決に向けて大きな転換点を迎える。

 金正恩氏の外国訪問は一一年に最高指導者に就任して以来初めて。今年四月末に南北、五月末までに米朝首脳会談が予定される中、核開発を巡り冷え込んでいた中朝関係は正恩氏の訪中を機に修復に向かうとみられる。正恩氏は習氏に早い時期の訪朝を招請し、習氏は受諾した。

 新華社によると、正恩氏は習氏に「(祖父の)金日成(キムイルソン)主席と(父親の)金正日(キムジョンイル)総書記の遺訓により、朝鮮半島の非核化実現に力を尽くすのは、われわれの変わらない立場だ。韓国と米国が平和的な雰囲気をつくり出し、平和のための段階的な措置を取れば、問題は解決できる」と伝えた。

 習氏は「朝鮮半島情勢は今年に入り変化した」と指摘し、米韓両国との対話に前向きな姿勢に転じた北朝鮮の努力を評価。「中国は朝鮮半島問題で引き続き建設的な役割を果たす」と表明した。

 正恩氏の訪中には李雪主(リソルジュ)夫人や崔竜海(チェリョンヘ)党副委員長らが同行した。金総書記と同様に特別列車で訪れ、列車は二十八日午前六時(日本時間同七時)ごろ、北朝鮮領内に戻った。

◆首相 制裁維持強調

 安倍晋三首相は二十八日午前、金正恩朝鮮労働党委員長と習近平国家主席の会談について「北朝鮮から話し合いを求めてきている状況だろう。(北朝鮮が)具体的な行動を取らない限り、制裁は維持しなければならない」と強調した。参院予算委員会での答弁。

 首相は今回の会談について「重大な関心を持って情報収集、分析に努めている」と説明。「(北朝鮮が)核・ミサイルを完全かつ検証可能、不可逆的な形で廃棄することが大事だ」とも話した。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は同日午前の記者会見で、中朝首脳会談に関連し「(日本人)拉致問題はわが国の最重要課題。中国にこれからも協力を要請する」と話した。

◆北朝鮮 対米交渉のカードに

 【北京=城内康伸】金正恩朝鮮労働党委員長が習近平国家主席に対して、核問題を話し合う六カ国協議への復帰意思を伝えていた。中国は一貫して協議再開を求めてきた。北朝鮮は、中国が歓迎するカードを切ることで同国を取り込み、対米交渉を有利に展開しようとの思惑とみられる。ただ、協議再開は過去と同様、北朝鮮の時間稼ぎに利用される恐れがある。

 中朝は発表した両首脳の会談内容で、六カ国協議への復帰意思伝達について触れていない。再開までには曲折を経る可能性を念頭に置いたとみられる。

 習氏は今月十二日、正恩氏と会談した韓国特使に、「国際社会と共に朝鮮半島問題の政治解決を進めたい」と強調していた。米国と北朝鮮による史上初の首脳会談が開催される見通しの中、中国は頭越しに米朝が接近する展開に焦りを感じている、と一部の外交筋はみる。

 正恩氏が六カ国協議に復帰する用意があると伝えたのは、協議議長国であり調整役として存在感を回復したい中国には、願ってもない申し入れのはず。北朝鮮は、そうした中国の心中を見逃さなかった。北朝鮮への制裁などで、中朝関係はぎくしゃくしていたが、修復を図る好機と判断した。

 北朝鮮にとって米国との関係正常化は最大の外交目標。ただ、予測不可能なトランプ米政権と向き合うのはリスクも大きい。米朝首脳会談が決裂する可能性も排除できず、米国をけん制する存在として中国を引き寄せておく必要があると考えたとみられる。

 核開発に注力した北朝鮮は最近まで、六カ国協議に復帰しない考えを示してきた。それだけに「対話のための対話はしない」という立場を取る日米は、無条件の協議再開に慎重な姿勢をみせる可能性がある。協議が再開しても、北朝鮮の核放棄までの道のりは遠い。北朝鮮が米中など協議参加国間の意見対立を利用し、有利な条件を引き出そうとしたり、協議を長引かせて、引き続き核技術の進展を狙う恐れがある。

 <6カ国協議> 北朝鮮による核問題を解決するため、中国を議長国として北朝鮮、日本、米国、韓国、ロシアが参加して2003年8月に北京で初めて開催。北朝鮮は04年の第2回協議で、米国が敵視政策を放棄すれば「核兵器計画」を放棄すると主張。05年9月には核放棄などを盛り込んだ共同声明を採択した。その後、非核化の検証方法を巡り対立が解けず、08年12月の首席代表会合を最後に中断。北朝鮮は核開発を続け、「協議の役割は終わった」と主張していた。

 

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