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【国際】

「信任選挙」投票率4割か エジプト大統領再選確実

カイロの繁華街インバーバ地区で投票日初日の26日、有権者を投票所へ無料送迎するため集まった三輪タクシー。タクシーの屋根には、地元国会議員とシシ大統領がほほ笑む写真が並んでいた=奥田哲平撮影

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 【カイロ=奥田哲平】エジプト大統領選は二十九日、開票作業がほぼ終了し、政府系紙アルアハバルの暫定集計によると、現職シシ大統領(63)の得票率は90%以上で再選を確実にした。軍を基盤とした強権的な政権運営が目立つシシ氏は二十八日、「わが国の偉大さを証明した」と声明を出し、国内外に政権の正統性を誇示した。

 選挙管理委員会は来月二日に正式な開票結果を公表する。地元テレビの集計では、投票率は40%程度にとどまるとみられ、二〇一四年の47・5%を大きく下回る見通し。元軍参謀総長ら有力な対抗馬が拘束されるなどしたため、候補者は無名の小政党党首ムーサ・ムスタファ氏(65)との二人だけ。野党勢力が「出来レース」と棄権するなど、選挙戦は低調だった。

 シシ氏はカイロ出身で、軍情報機関トップや国防相を歴任。一三年にイスラム主義組織ムスリム同胞団系のモルシ前政権を追放するクーデターを主導し、翌年の大統領選で初当選した。

 安定を望む有権者は、シシ氏の続投に治安改善や経済再生を託した。エジプトは一一年の民主化運動「アラブの春」後の混乱でイスラム過激派のテロが頻発。現在も非常事態宣言が発令中で、テロ対策を名目とした同胞団や民主活動家の弾圧も続く。今後、シシ氏が融和姿勢に転換しなければ、国民は分断されたままだ。

 経済対策では、大型公共事業優先の景気刺激策を講じ、外国人観光客も戻りつつある。シシ氏が就任した一四年と比べると、経済成長率は2・9%から5%前後に上昇する見込み。ただ、対外債務は二倍近い八百八億ドル(八・六兆円)に急増。一七年のインフレ率は30%を超え、補助金削減も加わって大半の国民には景気回復の実感はなく、市民生活は困窮している。

 強権的政権運営で「物言えぬ」雰囲気が社会にまん延し、不満の受け皿すらない状況で大統領選は実施された。シシ氏が二期目で国民融和に目に見える成果を出せなければ、暴力という形で不満が噴出する恐れも出てくる。

 

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