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【国際】

北京・出稼ぎ村、再び 高賃金魅力で旧正月後に回帰

3月22日、違法建築とされ一時は撤去を強いられた中国・北京の費家村の住宅。出稼ぎ労働者も戻って日常生活を取り戻していた=秦淳哉撮影

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 【北京=秦淳哉】北京市で昨年十二月、違法な建築物に住んでいると問題視され、住居を引き払った出稼ぎ労働者らが北京に戻り始めている。二月の春節(旧正月)を故郷で過ごした後、賃金が高い北京で再び仕事を探すためだ。一方、市当局は今後も違法建築の取り締まり強化を掲げており、労働者らは「いつまで北京に住めるか分からない」と不安を募らせている。

 市中心部から北に約十五キロの朝陽区費家村。違法建築とされ、住民が退去した三階建てビルの外には洗濯物や布団が干されていた。日なたでマージャン卓を囲む姿も見られ、三カ月余り前、引っ越し作業に追われていた場所では以前の暮らしを取り戻しつつあった。

 四川省から戻ったばかりの五十代の夫妻は「老後を考えると、北京で稼ぐしかない」と話す。家賃は一カ月八百元(約一万四千円)。生活費を節約するため安い食料品を大量に買い込み「政府が立ち退き要求をしないよう祈るだけだ」。

 江蘇省の男性(49)は郊外に家を借りた。だが、仕事の都合で、家賃負担は合計二千元(約三万四千円)と今までの三倍以上になった。「政府方針は理解するが庶民の生活苦も考えてもらわないと」と渋い表情だ。

 費家村に突然の退去命令が出たのは昨年十一月三十日だった。市郊外の簡易宿泊所で出稼ぎ労働者十九人が死亡した火災がきっかけで、市当局は違法な建築物に住む労働者らに十五日以内の一斉退去を求めた。

 北京市の人口は膨らみ続け、二千百万人を超える。うち約八百万人は「外来人口」で、北京市の戸籍がない出稼ぎ労働者らとみられ、治安悪化も懸念される。市当局は、交通渋滞や大気汚染を防ぐためにも人口抑制が必要と考え、違法建築を理由に労働者の追い出しを進めているのが実情だ。

 北京で働けば、高い賃金を得られる。二歳半の女児を育てる河南省出身の女性(23)は、夫との共働き時の給与は合計九千元(約十五万円)だった。「故郷の給与は一人で三千元。北京に住みたい」と打ち明ける。

 また、費家村から東に十五キロ離れた皮村では、河北省出身のマッサージ店経営、李学林さん(46)が路地の一角に店を開いたが、気が気でない様子。「政府が何をするにしても、しわ寄せを受けるのはいつもわれわれ庶民だ」。やるせない思いに顔を曇らせた。

 

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