東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

キング牧師長男 一問一答 非暴力運動・高校生の銃反対 心強い

1963年3月、米ジョージア州アトランタの自宅で、キング3世(左)ら子供や妻と一緒に腰掛けるキング牧師(左から2人目)=AP・共同

写真

 「私には夢がある」と人種融和を訴えた名演説で知られる米国のキング牧師の暗殺から4日で50年。長男で人権活動家のキング3世(60)は、差別や国際社会での孤立をいとわないトランプ米大統領を「時計の針を巻き戻そうとしている」と非難する一方、そうした大統領への反発が、銃規制強化や性差別の根絶を訴える市民運動を盛り上げている側面を指摘した。本紙との主な一問一答は次の通り。 (ニューヨーク・赤川肇)

 −暗殺当時十歳だった。

 「遊説やデモに同行したこともあったが、父を社会の重要人物として初めて認識したのは葬儀。時の大統領候補ら政界や芸能界の大物がいた。それから父の言葉を学ぶようになった」

 「私たち四人の兄弟姉妹にとって、家では仲間のような存在だった。冷蔵庫の上から父の腕に飛び降りて遊んだり、水泳を教えてくれたり。小学二年のころ、投獄された父を他の子供たちから『おまえのオヤジは常習犯だ』と冷やかされ、大泣きする私に母は『世の中を良くするために獄舎に行くのよ』と言った。翌日から誇らしい気持ちで通学できたのを覚えている」

 −キング牧師の「夢」は実現に近づいたのか。

 「明らかに未達成だ。父は貧困、人種差別、軍国主義・暴力という三悪の根絶を唱えた。しかし、経済大国で何千万もの人々が貧困にあえぎ、大統領が人種差別をあおり、暴力は地域から国家間レベルまで甘受するのに慣れてしまうほど、あちこちにあふれている」

 「一方、父や母が誇らしく思うであろう前進もある。カリフォルニア州で三月、丸腰の黒人が白人警官に撃たれた事件では、黒人による抗議運動が白人にも広がっている。どんな不正義も正義への脅威だ。非暴力運動の盛り上がりが心強い。性暴力やセクハラを告発する『#MeToo』運動もそう。こうした動きは、トランプ氏の就任後に目立ちだしたのではないか」

 −二月のフロリダ州の高校銃乱射事件を受け、全米で高校生らが銃規制の強化を訴えて立ち上がった。

 「最も高く評価したい動きだ。高校生主導の運動は一九六三年の公民権運動以来で、連邦議会まで変えようとしていると思う」

 −銃乱射事件後のデモでは、キング牧師の孫娘で、あなたの長女ヨランダさん(9つ)も「私には夢がある。銃のない世界だ」と演説した。

 「実は娘にとって新しい問題ではなかった。二年前、家族でオバマ大統領(当時)に会った際、娘には事前に『大統領への質問を考えておいて』と伝えていた。彼女がオバマ氏に尋ねたのは『銃問題にどう向き合うつもりですか』だった」

 「娘だけではない。子どもたちが自分たちや次世代の安全のために理想を持ち、何かしなければと感じている。父と母の遺志は受け継がれているのだ」

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報