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【国際】

元スパイ暗殺未遂事件1カ月 化学兵器禁止機関が理事会

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 【ロンドン=沢田千秋】英国で起きたロシアの元情報機関員らへの神経剤を使った暗殺未遂事件で、化学兵器禁止機関(OPCW)は四日、ロシアの要請で執行理事会を開いた。英政府は神経剤をロシアで開発されたノビチョクと断定。ロシアは関与を全面否定し、理事会では英ロそれぞれを支持する各国間で分裂が生じた。事件は四日で発生から一カ月を迎えた。

 理事会には英ロ両国を含む化学兵器禁止条約加盟国約四十カ国が参加した。OPCWは現在、事件で使われた神経剤を分析中だが、ロシアは一連の調査から除外されている。

 ロシアは「私たちはOPCWに協力する用意がある」と、調査参加を求めると、イラン、キューバなど十三カ国が支持。一方、英国は「犯人の疑いがある者と共に調査する道理はない」と激しく反発し、欧州連合(EU)諸国が賛同した。

 理事会は「OPCWの専門家が現場と被害者から神経剤サンプルを採取した。英国も調査には関与していない」として、分析中の研究施設の秘匿性と調査の独立性を強調。近く、結果を公表するとしている。

 ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の元大佐セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんは先月四日、英南部ソールズベリーの商業施設のベンチで意識を失い、ユリアさんだけは会話できるまでに回復した。

 英警察当局によると、スクリパリ氏の自宅玄関ドアの取っ手から高濃度の神経剤が検出され、発症までには数時間を要した。

 元英軍情報機関員のフィリップ・イングラム氏によると、ノビチョクは国際社会で把握されていない神経剤の総称。イングラム氏は「軍用神経剤には即効性が求められるが、今回の神経剤は、あえて遅効性に開発された」とみる。理由について「粉末状なら、暗殺者が吸い込み、その場で発症の恐れがあるが、濃い液状で皮膚から吸収させる遅効性なら、暗殺者の逃走を容易にできる」と話す。

 ノビチョクを鑑定した英防衛科学技術研究所の幹部は英メディアに「私たちは(開発国を)特定していない。政府が、鑑定結果と情報機関の資料を基に(ロシアと)判断した」と証言。神経剤の鑑定だけで、開発国を特定するのは難しいとの見方を示している。

 

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