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【国際】

「ロシア人被害なら反撃」 ロ、米シリア攻撃をけん制

 【モスクワ=栗田晃】シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑に関して、トランプ米大統領が攻撃を示唆する中、アサド政権の後ろ盾となるロシアが対応を検討している。ロシア軍幹部はロシアに人的被害が及んだ場合には反撃することを明言。専門家の多くは「核大国同士、エスカレートは回避する」とみるが、米ロ関係が悪化の一途をたどる中、不測の事態も起こりかねない情勢だ。

 トランプ氏が十一日、ツイッターに「準備しろ、ロシア。ミサイルが来るぞ」と挑発的な言葉を投稿したことに対し、ロシア外務省のザハロワ情報局長は十一日、「ミサイルはテロリストに向けるべきだ」と不快感を示した。

 ロシア軍は拠点を置くシリア北西部ラタキア南東にあるヘメイミーム空軍基地と、西部のタルトス海軍基地に、最新鋭の対空ミサイルシステム「S400」を配備し、シリア国内の大部分を防衛できるとする。ロシア下院のシャマノフ国防委員長は十一日、インタファクス通信に「手段は限定しない。ロシアや同盟国への攻撃にはただちに、効果的に反撃する」と述べ、米国をけん制した。

 一年前の米国によるシリア攻撃の際には事前に軍当局間の連絡があり、被害がなかったロシアは反撃しなかった。軍当局間の連絡は維持されており、ロシア側には「米国は今回もロシアの拠点を標的にしない」との見方が大勢だ。

 米国がアサド政権優勢のシリア内戦の戦況を変えるほどの大規模攻撃に踏み切る可能性は低いとみられるからだ。軍事評論家のフェルゲンガウエル氏は「戦力では、米国が圧倒的優位。ロシアは言葉だけの反撃にとどめるのが得策だ」と指摘する。

 一方、プーチン大統領が昨年末、シリアからのロシア軍撤収開始を指示した後も、数千人が駐留。アサド政権軍と行動をともにする関係者もおり、ロシアを標的としない攻撃でも人的被害が出る可能性はある。

 ともに自国の「強さ」の誇示にこだわるトランプ氏、プーチン氏の判断次第では、局地的な米ロ衝突の危険性すら、完全には排除できない。ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は米国によるシリア再攻撃の可能性が出てきた三月中旬、「ロシア軍人の生命が脅かされれば、ミサイルを迎撃し、発射元にも打撃を与える」と警告している。

 ロシアはシリア内戦で実戦投入した射程千五百キロの巡航ミサイル「カリブル」をカスピ海や地中海に配備しており、ロシア紙コメルサントの軍事担当記者、サフロノフ氏は「可能性は低いが、ロシアが米軍艦を攻撃するのが、想定される最悪のシナリオ。そうすれば、大規模戦闘になる」と指摘する。

 

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