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【国際】

米中貿易摩擦 政権に近い識者に聞く

 米国と中国が貿易戦争の瀬戸際にある。強大な経済力を手にして自信を深める中国は国際ルールを順守している姿勢を強調し、自らに理があると訴える。一方、政治体制が異なる中国に対する米国の警戒は強く、知的財産権の侵害や不透明な貿易障壁を批判する。米中両国でそれぞれの政権に近い識者に今後の見通しなどを聞いた。

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◆中国 清華大国情研究院院長・胡鞍鋼(こあんこう) 改革開放で技術優位に 

 −両国の貿易摩擦はなぜ激化しているのか。

 「(二〇〇一年に)中国は世界貿易機関(WTO)の加入時、貿易総額で世界第八位。現在は一位だ。米欧日などと競争が起きるのは当然だ。中国の競争力が増し、米国の競争力が衰えている。だから米国の貿易赤字が増える。これは中国ではなく、米国の問題だ」

 −貿易戦争は不可避か。

 「今後の可能性は二つある。協調して良い競争関係を保つか貿易戦争に至るかだ。中国は貿易戦争を望んでおらず、米国との協調に前向きだ。先週も習近平国家主席が新たな市場開放策を表明した。トランプ米大統領も直後に謝意を表明しており、中国の考えを理解しているはずだ」

 −米制裁はハイテク分野を標的にしている。次世代の覇権争いの性格は。

 「当然ある。購買力平価換算の国内総生産(GDP)で中国は米国を抜いた。特許取得数も米国の数倍。技術開発で優位にある。改革開放を続けた結果だ。米国は単独主義に走るのではなく、中国を見習うべきだ」

 −米国は中国の知的財産権侵害を批判している。

 「中国は法律を整備し、知的財産権の保護に努めてきた。十年前に比べ、明らかに改善している。それでも問題があれば、法律に従って処理すればいい」

 −経済が発展すれば、中国もいずれ民主化するという見方が米国にあった。

 「中国は共産党が指導する国家だ。西側は邪悪な一党独裁とみなすが、現在の経済発展をみるべきだ。共産党が社会全体の力を動員できるからこそ、中国の今がある。西側の見方は願望にすぎない」(北京・中沢穣、写真も)

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◆米国 米経済戦略研究所長・クライド・プレストウィッツ 中国は巨額黒字で軍増強

 −対中制裁理由の知的財産権侵害をどう見るか。

 「中国は市場が大きく、国際的なビジネスで無視するのは難しい。だが、ビジネスを始めるには許可が必要で、現地生産し技術移転を求められる。多くの企業は技術面のリードを維持できると自分を納得させるが、結局は追いつかれるのが典型的なパターンだ」

 −米国は中国に対し技術的優位性を維持できるか。

 「中国は最先端技術を開発する恐るべき能力を持っている。もし米国の政治、経済のリーダーが、中国が技術的な覇権を握ることが米国の繁栄にとって真の脅威だと認識し、旧ソ連との冷戦期のように団結すれば、技術的な優位性は維持できるだろう。だが自由放任的なアプローチを取るなら、確信は持てない」

 −中国の巨額の対米貿易黒字をどう考えるか。

 「中国は一帯一路構想など対外活動を積極化しているが、巨額の貿易黒字で活動資金の一部が賄われている。南シナ海の軍事基地化も同じだ。米国は尖閣諸島を守ると約束しているが、貿易黒字で中国の海軍増強に資金を提供するのが理にかなったことだろうか」

 −貿易戦争になるか?

 「互いに関税を引き上げ、すでに貿易摩擦は深刻だ。ミサイルを撃ち合う戦争にはならないが一定レベルの摩擦は続くだろう。習近平国家主席が最近、融和姿勢を見せたのは興味深いが、中国は対処するのが難しい国。信じられないほど官僚機構の力が大きく、非公式に行政指導を出せば、法的な手続きなしで事実上、市場を閉鎖できる。現在の融和姿勢が何を意味するのかよく見る必要がある」 (ワシントン・白石亘、写真も)

 

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