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【国際】

ロヒンギャ差別投稿 フェイスブック放置 ザッカーバーグ氏、不備認める

 【バンコク=北川成史】ミャンマーで、米インターネット交流サイト・フェイスブック(FB)がイスラム教徒少数民族ロヒンギャを巡る差別的投稿を放置しているとの批判が噴出、規制のあり方が議論になっている。FBのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は不備を認め、対策強化を約束した。

 ザッカーバーグ氏は今月上旬、ニュースサイト「Vox」で、ロヒンギャと仏教徒の対立をあおるチェーンメール(転送を促すメール)が昨年、FBのアプリ「メッセンジャー」で出回った事実に言及。検知後に止めたと強調したものの、「現実世界に害をもたらす形で使われていた」と認めた。メールは「ロヒンギャが九月十一日にジハード(聖戦)を計画している」といった内容だった。

 だが、ネットの書き込みの監視などをする地元NGO六団体は質問状で、FBがメールを四日間以上放置し、国全体への拡散を許したと非難を強めた。

 FBは「もっと迅速に対応すべきだった」と陳謝。ザッカーバーグ氏も、情報流出を巡って開かれた十日の米上院公聴会で、ミャンマーでの問題に触れ、ヘイトスピーチ(憎悪表現)対策強化の必要性を認めた。

 ミャンマーでは二〇一一年の民政移管後、FBが急速に普及し、人口五千百万人のうち推計千六百万人が利用。ヘイト対策は追い付かず、三月には国連特別報告者の李亮喜(イヤンヒ)氏が「ミャンマーでFBは獣(けもの)になっている」と懸念を表している。

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◆FBで殺害予告受けた記者 ミャンマーから避難

 記事を巡ってFB上で脅され、ミャンマーからタイに避難したピュリツァー賞受賞者でAP通信記者のエスター・トゥサン氏(30)がバンコクで本紙の取材に応じ、「多くの国民がFBの適切な使い方を身に付けていない。FBはもっと対策を取るべきだ」と訴えた。

 トゥサン氏はミャンマーで、ロヒンギャ迫害問題に関し、アウン・サン・スー・チー国家顧問が率いる政権に批判的な記事を執筆。昨年十一月、スー・チー氏の演説を一部誤訳したことが引き金となり、スー・チー氏の支持者らから歪曲(わいきょく)との非難が相次いだ。FBで殺害予告を書き込まれ、付きまといも受けたため、翌十二月にタイに逃れ、仕事を続けている。

 「気に入らない人間をFBで攻撃する。とても危険だ」。トゥサン氏は母国の風潮に危機感を募らせる。

 FBは一月、ロヒンギャ排斥を主張する急進派僧侶のページを閉鎖した。だが、トゥサン氏は「十分ではない。今も人々はヘイトスピーチを拡散している。ミャンマー語の分かるスタッフをそろえ、(脅迫など)ルール違反の投稿を禁ずるべきだ」と求める。

 自身の帰国は「何が起こるか分からない」と不安が拭えず、見通しが立っていない。 (バンコク・北川成史)

<エスター・トゥサン氏> ミャンマーの少数民族カチン人でキリスト教徒。大学卒業後、2013年にAP通信に入社。16年、東南アジアの漁業の過酷な労働をチームで追った報道でピュリツァー賞を受けた。

 

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