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【国際】

「政権軍の使用に疑問」 シリア化学兵器疑惑で人権監視団

21日、カイロ市内でインタビューに応じるシリア人権監視団のアブドルラフマン所長=奥田哲平撮影

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 【カイロ=奥田哲平】シリア内戦の情報を独自に収集分析するシリア人権監視団(ロンドン)のアブドルラフマン所長が二十一日、訪問先のカイロで本紙のインタビューに応じた。米英仏の攻撃を招いた化学兵器使用疑惑について、アサド政権軍が使用したとの見方に疑念を示した。米英仏の攻撃は「政権軍に打撃を与えていない」と断言した。

 化学兵器が疑われる攻撃は七日午後、首都ダマスカス近郊の東グータ地区ドゥーマで発生した。救助活動を担う民間防衛隊(ホワイトヘルメッツ=WH)は子どもらが泡を吹いて横たわる映像を公開し、化学兵器の影響で四十人以上が死亡したと発表。しかし人権監視団は今も「空爆後に二十一人が呼吸困難で死亡した」と報告するにとどめ、明言を避けている。

 「化学兵器が使用されたかどうか断定も否定もできない」とアブドルラフマン氏。その理由を「WHの映像が不自然。遺体をすぐに埋めたことにも疑問が残る」と指摘。「政権軍もWHもプロパガンダが多く信用できない」として、化学兵器禁止機関(OPCW)が二十日に現場で試料採取した検査結果を待つ立場だ。

 ただ、十六日に現場を取材した米CBSは、塩素ガスが流出したとされるボンベや「息苦しく、塩素の臭いがした」との住民証言を伝え、化学兵器攻撃が実際にあった可能性は高い。アサド政権や後ろ盾のロシアは反体制派の「自作自演」と主張する。

 アブドルラフマン氏によると、ドゥーマで最後まで抵抗した反体制派「イスラム軍」は七日時点で撤退に合意。「政権軍は過去に化学兵器の使用歴があるのは確かだが今回は必然性がない」。東グータへの攻撃拠点だったドゥマイール空軍基地では「七日は政権軍の航空機が離着陸をしていない」とも述べた。

 一方、米英仏のシリア攻撃は「成果」を巡る米ロの見解が異なる。米国は化学兵器製造・貯蔵が疑われる「科学研究調査センター」(SSRC)の三施設の破壊に成功したと主張。これに対してロシアは、ほかに空軍基地六カ所も空爆され、百三発中七十一発を迎撃したと誇示する。

 アブドルラフマン氏の分析はロシアの主張に近く、米英仏のミサイルは六十五発以上が迎撃されたとみる。「米国は世論に配慮し、化学兵器に関わる三施設だけしか言及していない」と指摘。その上で「製造貯蔵施設が攻撃されれば周囲に流出したはずだが、そのような情報はない。そもそも事前に政権側は軍関連施設から武器を避難させ、二日後には空軍基地の戦闘機使用が再開した」として、政権軍の攻撃能力に影響は少ないとの見方を示した。

 

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