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【国際】

子どもらに記憶語り継ぐ チェルノブイリ原発事故から32年

17日、モスクワの公立学校で、チェルノブイリ原発事故の支援団体のミシュラさん(左端)の話を聞く生徒たち=栗田晃撮影

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 【モスクワ=栗田晃】旧ソ連(現在のウクライナ)で一九八六年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故から二十六日で三十二年。当時を知る人々の間でも事故の記憶が希薄になる中、子どもたちに語り継ごうという取り組みがある。被災者支援団体が行うモスクワの学校での特別授業に同行した。

 「私たちの課題は原因を究明し、再発を防ぐこと。作業ミスがチェルノブイリ事故の一因になったのに、福島でまた原発事故は起きたのです」。四月中旬、モスクワ南部の公立学校八年生(日本の中学二年生)の教室。支援団体「チェルノブイリの子どもたち」のエフゲニー・ミシュラ代表(49)が語り掛けた。

 爆発事故が起きたチェルノブイリ原発4号機は二〇一六年十一月、新しいシェルターに覆われたが、解体作業のめどは立たない。生徒からの「事故の収束はいつか」との質問に、ミシュラさんは「誰にも分からない。放射能汚染がどれだけ続くのかも。あなたたちの問題でもある」と答えた。

 資源国のロシアだが、現在は発電量の二割近くを原子力が占め、チェルノブイリ事故当時からほぼ倍増。国策として原発が推進され、全ロシア世論調査センターが二年前に行った世論調査では、原子力産業の発展を「歓迎する」と答えた人が58%に達し、九〇年の14%から大きく伸びた。

 教室でも、担任教師が「原発は事故が起きれば収束に長い時間がかかる。自然エネルギーを使うべきだとは思わない?」と問い掛けたが、生徒からは「石油やガスもいつか尽きる。太陽光や風力発電だけでは不十分」との声もあった。

 ロシアの学校でチェルノブイリ事故は中学の地理で短く扱うだけで、こうした特別授業を実施する学校は少ないという。ソ連崩壊後、直接の事故処理は隣国ウクライナが中心だが、記者が生徒たちに「責任を共有していると思うか」と問い掛けると、「ダー(はい)」と声をそろえた。祖父が事故処理作業で被災したターニャさん(14)は「ネットを調べるだけでは分からない。本をたくさん読んで勉強したい」と話した。

 <チェルノブイリ原発事故> 1986年4月26日、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発4号機が原子炉の欠陥と運転員の熟練不足から、試験運転中に爆発。ベラルーシ、ロシア、欧州にも放射性物質による汚染が広がった。消火などに当たった数十人が急性放射線障害で死亡し、33万人が避難を強いられた。

 

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