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【国際】

<サウジ維新 普通の国へ>(上)女性初のGS管理者 自由へのハンドル応援

サウジ東部アルコバールのガソリンスタンド店で管理責任者を務めるブクハリさん

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 ペルシャ湾に面したサウジアラビア東部アルコバール。海水浴場のそばにあるガソリンスタンドの店で、全身を覆う黒い衣装アバヤ(ニカブ)を着たメルバト・ブクハリさん(43)が慌ただしく動き回っていた。

 サウジ初といわれる女性のスタンド管理責任者。「清掃は行き届いているか」など毎週本社に提出する点検表に従って確認作業を続ける。昨年十月の開店から携わり、六月に迫る女性の自動車運転解禁を見据えて工夫を凝らした店だ。

 男性の給油係と接するのをためらう女性ドライバーが一人で給油できるようにコイン式を導入した。飲食店やホテル、子どもの遊具広場を備えた複合施設の中にあり「女性が訪れやすいようにするには、きれいなのが一番」と胸を張る。

 ところが、同じ言葉をツイッターに投稿した途端、「女性が給油係として働いている」と勘違いした人たちの中傷が相次いだ。

 「私は管理職です。給油ノズルは握らない」。そう釈明しても、兄弟でさえ冷たい視線を投げかけた。「この侮辱は、後に続く女性のために乗り越えなければならない階段ね」とブクハリさん。会社は病院経営やホテル事業も手掛け、女性社員が三割を占める。

 イスラム教スンニ派の中でも戒律が厳しいワッハーブ派が主流のサウジは、女性は「保護する存在」との教えに基づき、家事育児に専念すべきだとの考えが根強い男社会だ。「世界経済フォーラム」が策定した二〇一七年の男女格差指数では百四十四カ国中、百三十八位。ブクハリさんは十六歳でお見合い結婚し、子育てしながら高校に通った。しかし、望んでいた大学進学はかなわなかった。

 そんなブクハリさんにとって、ムハンマド皇太子が進める改革は「ドアが開いた」ようで、まぶしく映る。改革プランでは、就業する女性の割合を22%から30%に伸ばす目標を掲げ、国際社会から「女性抑圧」の象徴とされた自動車運転を解禁。女性が働ける職場は増えつつあり、政府は女性の起業に必要だった男性の許可も廃止した。

 ブクハリさんはスタンド管理の傍ら、新事業開始の準備にも追われている。起業したい女性に月一千リアル(約三万円)で展示場所を貸し、自作のデザイン雑貨や刺しゅう作品、香水などを販売してもらう計画だ。

 「今は考えている時ではない。好きなことに挑戦しチャンスをつかまないと時間の無駄になる」。アバヤからのぞく目が力強く輝いた。(アルコバールで、奥田哲平、写真も)

    ◇  ◇

 中東の産油国サウジアラビアで、次期国王と目されるムハンマド皇太子(32)が二〇一六年四月に国家改革プラン「ビジョン2030」を発表してから二年が過ぎた。石油依存からの脱却を目指す構造改革は、イスラム教の教えを厳格に守るお国柄も変えようとしている。伝統と変革のはざまで揺れるサウジを歩いた。

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