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【国際】

イラン「軍事力を拡大」 ゴラン高原攻撃で緊迫

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 【カイロ=奥田哲平】トランプ米政権がイラン核合意からの離脱を表明したことを受け、占領地ゴラン高原を挟み、イランとイスラエルの軍事的緊張が高まっている。イスラエルのネタニヤフ首相は十日夜、シリア駐留のイラン部隊がロケット弾を発射したとして「レッドライン(越えてはならない一線)を越えた」と激しく非難した。

 ゴラン高原は、一九六七年の第三次中東戦争を機にイスラエルが占領。七四年に停戦合意して国連の監視部隊が駐留して以降、二十発のロケット弾が発射されるような大規模攻撃はなかった。また領有権を争うシリアではなく、イランがイスラエルに直接武力攻撃したのも初めてで、イスラエルは深刻に受け止める。

 イスラエル軍は、ロケット弾発射はイラン革命防衛隊で対外工作を担う「コッズ部隊」の主導と指摘。米財務省は十日、同部隊による不正資金調達に関与した個人らを新たな制裁対象に加え、締め付けを強める。

 革命防衛隊はイラン最高指導者ハメネイ師の直轄で、シリア内戦に軍事顧問団を派遣。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討で実力を発揮する一方、イランからイラク、シリアを経てレバノンに至る一帯を影響下に置いた。シリア国内には三十カ所以上に拠点を構築し、八万人の傘下民兵組織を有するとされる。

 ゴラン高原に接するシリア南西部は反体制派が強い地域だが、地元活動家アフマド・ホドル氏(28)によると、イラン系民兵組織が浸透し、軍事拠点を増やしているという。これまでイスラエルはシリア国内の革命防衛隊施設を何度も越境攻撃してきたが、防衛隊による直接の反撃はなかった。

 引き金になった可能性があるのが、米国の核合意離脱だ。米欧の要求する弾道ミサイル開発の規制などは、革命防衛隊としては受け入れられない。国際協調路線のロウハニ大統領に防衛隊を指揮する権限はなく、イスラエルへのロケット攻撃は独断での示威行動だったともされる。

 防衛隊のサラミ副司令官は十日、「われわれは軍事力拡大を決意しており、敵との戦いで自ら武装解除することはない」と対決姿勢を鮮明にしている。

 

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