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【国際】

四川大地震の対応を自画自賛 被災地記念館 共産党の功績ばかり

四川地震記念館でガイドの説明を聞く中学生たち。レリーフは震災当時の救助活動を表現している

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 中国・四川大地震の被災地に立つ地震記念館は震災から十年を迎え、多くの見学者でにぎわっていた。しかし共産党の功績や軍、警察の奮闘をたたえる展示物が中心で、当時問題になった「手抜き工事」についての説明はなかった。 (四川省北川チャン族自治県で、浅井正智、写真も)

 記念館は大地震から五年後の二〇一三年五月にオープン。五千点以上の資料や八百枚余りの写真で発生直後の様子や救助活動、復興までの軌跡を紹介している。

 「英雄的な中国人民はいかなる困難にもひるまない」。入館して目に飛び込んでくるのは、そう書かれた巨大な石碑。当時の胡錦濤(こきんとう)国家主席の言葉だ。救助活動の様子を表現したレリーフには「共産党に感謝する」と刻み込まれている。

 壊れた自動車や地震発生時間で止まった時計なども展示されているが展示の狙いは、災害の教訓を後世に伝えることが主眼ではない。

 「空前の災難に遭遇し、共産党と政府の指導の下、中国史上最速の救援活動を展開し、英雄の凱歌(がいか)を上げた」。共産党政権の功績をことさらに強調し、当時、国家副主席だった習近平(しゅうきんぺい)氏が現地入りした時の写真も掲げられている。

 地元の綿陽第二中学校の二年生が女性ガイドの説明を受けていた。記念館は「愛国主義教育基地」に指定され、見学が義務づけられているようだ。

 手抜き工事が疑われる中学校についての展示もありガイドは「岩に押しつぶされ、今も収容されていない遺体がある」と解説したが、疑惑には触れなかった。涙を拭う女子生徒もいたが、おしゃべりをやめず、再三注意される生徒もいた。

 生徒四人に展示の感想を聞くと、「当時は幼くて全く覚えていない。感想と言われても…」と気のない返事が返ってきた。共産党の自画自賛で埋め尽くされた展示は、子供たちの心には響いていないようにみえた。

 

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