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【国際】

マレーシアの大型開発計画 中国依存見直しへ

 【バンコク=山上隆之】マレーシアのマハティール首相(92)が外国企業による大型開発プロジェクトの見直しに着手する。ナジブ前政権下で、「一帯一路」構想を推進する中国への依存度が高まっていたことに、マハティール氏は懸念を示していた。新政権では「どの国とも友好関係を築く」とし、これまでの中国偏重を改める構えだ。

 「中国から多額の融資を受けるべきではない。返せなかったらスリランカのようなことが起きる」。選挙前の本紙インタビューで、マハティール氏は危機感を表した。

 スリランカ政府は昨年、中国からの債務返済に窮し、南部ハンバントタ港の使用権を九十九年間、中国側に譲渡した。「借金のかた」に重要インフラを奪われた格好だ。

 マレーシアも政府系ファンド「1MDB」が巨額債務を抱え、二〇一五年に傘下の発電所などを中国企業に売却。これをきっかけにナジブ前政権は対中接近を進めていったとされる。鉄道や港湾、工業団地などの一帯一路関連プロジェクトは現在、三十件を超える。

 在マレーシアの日本企業関係者は「本来なら入札を実施すべき案件も中国企業の受注がトップダウンで決まり、日系企業が排除されてしまった」と明かす。地元メディアは昨年秋、建設現場で働く労働者の大半が中国本土からの中国人で、地元の雇用が失われていると報じた。

 マハティール氏は十二日の会見で、それぞれの事業が「私たちの利益になるのかを判断するために見直す」と説明。マレーシア情勢に詳しい小野沢純・元拓殖大教授は「マレーシア人従業員の採用やマレーシア製の部品の使用などを中国側に要求していくことになるだろう」とみる。

 見直しの対象には、首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画も含まれるとみられる。入札手続きは昨年十二月に始まり、来年九月までに事業者を選定する予定だ。

 事実上、日本と中国の争いとなっており、小野沢氏は「これまで中国側が有利とみられてきたが、ここで日本の新幹線組が勢いづくのは間違いない」と話し、日本への追い風と見ている。

 

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