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【国際】

四川大地震10年、日中つなぐ 元高校教諭「互いに学んで」

今月13日、四川省雅安市で小学生を対象にしたモデル授業をする諏訪さん=JICA提供

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 今年で発生から十年を迎えた四川大地震は、中国の防災意識を大きく変えた。かつては避難訓練も一般的ではなかったが、四川省を中心に防災教育など災害への備えが浸透しつつある。日本の国際協力機構(JICA)の防災教育プロジェクトに関わってきた兵庫県立舞子高校環境防災科の元科長で教諭だった諏訪清二さん(58)は「日中は互いの経験から学び合うべきだ」と話す。

 諏訪さんはこの十年間で三十回以上訪中し、学校などでモデル授業を行ってきた。授業では「明日、大地震が起きるなら今何をするか」「非常持ち出し袋には何をいれるべきか」などのテーマで生徒に議論を促す。諏訪さんは「正解のない問題をみんなで考える授業。現場の先生がいちばん評価してくれる」と話す。

 四川省では二〇〇八年の四川大地震のほか、一三年にも死者・行方不明者が二百人を超える地震を経験した。四川大地震では学校などで多くの生徒らが犠牲になったが、一三年の地震では生徒らが訓練通りに避難し、大きな被害を免れたケースもあったという。

 諏訪さんは「提案を受け止めて実践するスピードはすごい。中国の経験から日本が学ぶべき部分も少なくない」と話す。一方で「一部の地域や学校で行われている先進事例を中国全土に広めるには、まだ時間がかかる」と課題を挙げる。

 JICAは防災教育のほか耐震建築や心のケア、緊急救援能力強化などの分野で専門家を中国に派遣し、人材育成や技術協力などに取り組んできた。防災教育プロジェクトの中国側実施機関のひとつに当たる民間基金「壱(いち)基金」の担当者は、専門能力の向上に「JICAなど日本の協力は大きかった」と指摘する。 (四川省成都で、中沢穣)

 

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