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【国際】

中絶合法化 賛成66% アイルランド、法整備へ

 【ロンドン=阿部伸哉】人工妊娠中絶の合法化を問うアイルランドの国民投票結果は二十六日夕(日本時間二十七日未明)、正式に発表され、賛成66・4%、反対33・6%で、国民の約三分の二の支持によって合法化が認められた。カトリックの宗教保守派が強い同国での風向きが変わり、中絶を原則禁止する陸続きの英領北アイルランドや、中絶を巡って政治的対立が続く米国にも影響が出そうだ。

 「静かな革命が起きた」。合法化を支持してきたバラッカー首相は投票結果を評価すると同時に、反対派にも配慮。「歓迎できない結果だろうが、この国が変わることはない。もっと寛容で開かれ、他人を尊重するようになるだけだ」と融和を呼び掛けた。

 投票結果を受け、ほぼ全面的に中絶を禁止してきた憲法の条項は削除される。政府はフランス、ドイツなどと同様、妊娠十二週までは中絶を無条件に認める法案を提出する方針。

 伝統的価値観が根強いアイルランドでも、二〇一五年には国民投票で同性婚が認められ、翌年には同性愛者と公言するバラッカー氏が首相に就任。一方、中絶禁止の条項のため年間三千人超の女性が英国に渡航を余儀なくされ、国連から見直しを勧告されてきた。

 国民投票では、セクハラ被害を告発する「#MeToo(私も)」運動を受け、中絶のために外国に渡った女性たちが自らの経験を語り、世論を動かした。

 陸続きで接する英領北アイルランドでも、プロテスタントとカトリックの保守派が強く、英本土の中絶合法化は適用されていない。しかしアイルランドで合法化が進めば、陸続きの国境をまたいで中絶が可能となり禁止の意味は薄れる。

 米国では最高裁判決で中絶の合法性は確認されているが、トランプ政権下で南部を中心に各州法で規制を強める動きが活発化している。アイルランドを足場に流れを変えようとする動きが出そうだ。

<欧米の人工妊娠中絶規制> 最も厳しいのがマルタで全面禁止。アイルランドと英領北アイルランドは「母親の生命が危険な場合」に限定し、スペイン、ポルトガル、ポーランドは母親の健康状態悪化や性犯罪による妊娠などの場合に認める。仏、独など欧州の多数の国は妊娠12週目までは医師らの助言のもと母親の意思を尊重する。米国では1973年の最高裁判決で人工中絶の合法性が確認されたが、宗教保守派が強い南部を中心に各州法で規制を強める動きが活発化。日本では「母体保護法」で妊娠22週未満は中絶できる。

 

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