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【国際】

ロヒンギャ迫害 傷深く ミャンマー・ラカイン州

23日、ミャンマー西部ラカイン州の国境付近で、塀の向こうの緩衝地帯にいるロヒンギャ難民を警戒する国境警備隊

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 ミャンマー政府は、本紙など外国メディアに西部ラカイン州のイスラム教徒少数民族ロヒンギャの居住地域を公開した。昨年八月以降、迫害を受けて隣国バングラデシュに逃れた難民の受け入れ準備をアピールする狙いとみられるが、民族対立の傷痕が見られた。 (ミャンマー西部ラカイン州で、北川成史、写真も)

 州都から北部のバングラデシュ国境まで約百五十キロを移動中、車窓から数十カ所で焼け残った柱らしき物が見えた。周囲は手入れされていない農地が広がり、偶発的な火災と考えるには不自然な光景だ。

 メディア公開は二十三日までの三日間、政府が設定したツアー形式で実施。ロヒンギャ十人が虐殺されたインディン村への訪問はメディアの要望で短時間許可された。政府は村の事件を除き、軍などの不法行為を認めていない。国際調査団を拒み、独自調査も実質的になく実像が見えない。

 農地を所有する仏教徒少数民族ラカインの女性(45)は「昨年八月、雇っていたイスラム教徒が逃げた。自分たちも怖くて働きに出られない」と顔を曇らせた。ロヒンギャ難民は治安部隊による殺人や焼き打ちだと証言。一方のラカインらはロヒンギャ武装勢力による攻撃だと主張する。

 帰還難民は国境近くの受け入れ施設で身元確認され、国籍未審査者向け身分証明書(NVC)を得た後、一時滞在用キャンプに移動。最終的に政府が用意した住宅などに移る。

 州北部タウンピョーレッウェイの受け入れ施設で担当者は「準備はできている」と強調。しかしバングラ側を見渡すとミャンマーに通じる道は建設中で帰還が一気に進む気配はない。

 施設近くにはミャンマー領だが塀に囲まれた国境の緩衝地帯があり、ロヒンギャが逃げ込んでいる。男性(51)が塀越しの取材に「NVCはよそ者扱い。昔からいる民族として市民権がほしい」と主張した。ロヒンギャを先住民族と認めない政府との差は埋まらない。

 ロヒンギャ避難民はミャンマー国内にも数十万人いるとみられる。政府は国内避難民キャンプを閉鎖、再定住させる方針だ。あるキャンプの男性(31)は「いつ、どこに移るのか説明がない」と不安をあらわにした。

 六月の雨期が近づき、赤十字国際委員会(ICRC)のファブリツィオ・カルボニ氏は「非常に心配。雨で近づけなくなる前に援助物資を増やしている」と危機感を示した。

<ロヒンギャ> ミャンマー西部ラカイン州の北部を中心に住むイスラム教徒少数民族。人口は州全体の3分の1に当たる約100万人とされる。昨年8月、ロヒンギャ武装勢力と治安部隊が衝突後、迫害を受け約70万人がバングラデシュに逃れた。両国は1月の帰還開始で合意したが、帰還したのは4月に緩衝地帯から戻った1家族5人のほか、バングラから正規の手続きを踏まずに戻り、受け入れ施設に収容された約60人にとどまる。

 

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