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【国際】

北の核放棄、可能性は? 専門家らの見方「本気」と「低い」真っ二つ

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 【北京=城内康伸】史上初の米朝首脳会談が間近に迫る中、非核化を巡る米朝間の溝はなお、埋まらない。果たして北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に核を放棄する考えはあるのか。専門家らの見方は「本気だ」「核放棄の可能性は低い」と真っ二つに分かれる。

 正恩氏は五月七〜八日に中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席と行った会談で、「関係国が朝鮮に対する敵視政策や安全保障上の脅威を除去さえすれば、核を保有する必要はなくなる」と述べた。

 朝鮮労働党の幹部だった脱北者は「米国が体制保証を確実に担保すれば、核の全面放棄に踏み切る。正恩氏は本気だ」と言い切る。

 正恩氏は近年、核・ミサイル開発を急ぎ、昨年末には「国家核戦力の完成」を宣言した。核戦力増強で立場を強めた上で、対話路線にかじを切り、危機意識を高めた米国を交渉に引きこむ戦略を描いていた、との指摘がある。

 正恩氏は二〇一六年五月の党大会で「人民の豊かな生活の実現」をうたう「国家経済発展五カ年戦略」を提示。その目標期限を二〇年に迎える。

 この脱北者は、核放棄の方針は「正恩氏の戦略的決断だ」と強調。「非核化プロセスに入ることで、国連や米国の制裁を緩和させ、高い経済成長に不可欠な外資を呼び込む思惑」と解説する。生活が向上すれば、人民の最高指導者に対する評価は高まり、政権基盤はより安定する、というのだ。

 半面、核放棄の意思に懐疑的な見方も多い。米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は五月下旬、米国内の専門家三十人に調査した結果、「非核化の可能性を展望する回答者は一人もいなかった」と伝えた。

 VOAによると、元米国務省特別補佐官(不拡散軍縮担当)のロバート・アインホーン氏は「北朝鮮には既存の核兵器を放棄するいかなる意図もない」と断言した。

 別の専門家は「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」になぞらえ、「北朝鮮が米朝首脳会談で狙うのは、『完全かつ検証可能で不可逆的な核保有国』という点が認められること」と主張した。

 韓国に亡命した元駐英公使の太永浩(テヨンホ)氏は「(正恩氏が望むのは)非核化ではなく(米国との)軍縮交渉だ」と分析している。

 

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