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【国際】

英仏独 揺れる共同歩調 イラン核合意でイスラエル見直し要請

 【ロンドン=沢田千秋】カナダで八日に開幕する先進七カ国(G7)首脳会議(サミット)では、イランの核開発を制限する核合意の行方も重要議題の一つとなる。トランプ米大統領が合意離脱を表明し、中東地域の不安定化が懸念される中、当初から合意に反対するイスラエルのネタニヤフ首相が合意見直しを求め、四〜六日に合意締結国の英仏独首脳と会談、各国に揺さぶりをかけた。

 メルケル独首相とマクロン仏大統領はそれぞれネタニヤフ氏と共同記者会見を開いた。合意にイランの弾道ミサイル開発制限を盛り込む必要性や、合意期限となる二〇二五年以降の規制を議論する重要性を強調。一方、メイ英首相は声明で「合意は中東地域の安全で確かな未来を確保する最良な方法」と繰り返すにとどめた。

 米国の離脱表明時、三カ国は共同声明を出し、合意は「イラン核武装の脅威を無力化する最良の方法」として一致。弾道ミサイル開発、二五年以降の制限、中東地域を不安定化するイランの活動の三点で追加議論の必要性を確認した。

 合意を巡る三カ国の最大の懸念は、米国が離脱後にイランと商取引がある欧州企業に科す可能性がある経済制裁だ。発動されればイランに進出した企業が送金を断たれ国内経済への打撃となる上、経済的見返りを失うイランが合意を破棄する恐れもある。

 三カ国と欧州連合(EU)は四日、米国のポンペオ国務長官らに制裁の適用対象から欧州企業を除外するよう書簡で求めた。直後の五日、イランは合意の枠内ながらウラン濃縮能力を増やす施設開設計画を公表し、合意破棄をにおわせた。

 イスラエルは四月末、イランが合意の下で秘密裏に核開発を行っていたとする資料を情報機関が入手したとして発表した。資料の真偽は不明だが、英国のイスラエル研究者のジェームズ・ソリーン代表は「三カ国はネタニヤフ氏に『イランが合意を順守している限り』、合意維持が最良と繰り返した」とみる。

 また「多くのイラン進出企業を抱えるドイツと、欧州の覇権を狙い米国に近づくフランス、EU離脱を抱え余裕がない英国は立場が異なる。米国の制裁が欧州企業に向いた時、三カ国の共同歩調は崩れる可能性がある」と指摘する。

<イラン核合意> イランと米英仏独中ロ6カ国が2015年7月、イランの核開発制限の見返りに制裁を解除することで合意、包括的共同作業計画を発表した。イランは(1)濃縮ウラン貯蔵量の削減(2)遠心分離機の削減(3)兵器級プルトニウム生産の禁止(4)研究開発への制約(5)査察・透明性強化−を受け入れ、核兵器1個分の核物質の獲得に要する期間が1年以上になった。国連安全保障理事会は合意承認の決議を採択(期限は25年10月)、イランに対する国連安保理決議による核関連の制裁、米欧などの独自制裁が解除された。だが、トランプ米大統領は合意をイランが核兵器を保有することになる「欠陥合意だ」と批判し、18年5月、合意からの離脱を表明した。

 

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