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【国際】

米朝 三つの論点 「非核化」「体制保証」「拉致問題」

シンガポールで11日に開かれた実務協議(上)米国のソン・キム駐フィリピン大使(下)北朝鮮の崔善姫外務次官(右端)=ポンペオ米国務長官のツイッターから(共同)

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 十二日にシンガポールで行われるトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談。最大の焦点は北朝鮮の「完全な非核化」を巡る交渉の行方だが、その見返りとなるのが北朝鮮の体制保証の問題。日本人拉致問題についてどう言及するかにも注目が集まる。首脳会談での「三つの論点」を整理した。 (シンガポール・城内康伸、石川智規)

■配 慮

 「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)を目指す」。トランプ米大統領をはじめ米政権は、北朝鮮に対し早期のCVIDを求めている。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、北朝鮮が非核化を実施した後に経済制裁の解除などを行う「リビア方式」を主張した。

 しかし、北朝鮮は「段階的な非核化」を主張。「一方的な核放棄だけを強要するなら対話に興味はない」と強く反発し、首脳会談の再考を示唆した。

 すると、トランプ氏は一日、金英哲(キムヨンチョル)党副委員長(党統一戦線部長)とホワイトハウスで会談した後、「すべてが一回の会合で決まるとは言ってない」と軟化。北朝鮮側に一定の配慮を示し、米朝首脳会談の開催を優先した形だ。

 ポンペオ米国務長官は十一日、CVIDを目指す米側の考えに「変わりはない」と強調した。しかし「交渉の達人」を自任するトランプ氏が、正恩氏と実際にいかなる「取引」を行うのかは予測し難い。

■戦 略

 正恩氏が非核化の「見返り」として強く求めるのが体制の保証だ。北朝鮮が満足できる「保証」を米側が提示できるかが、非核化前進のカギを握る。

 だが韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領によると、正恩氏は五月二十六日に行った二度目の南北首脳会談で「(非核化する場合に)米国は体制保証するというが、信頼できるのか」と述べたという。

 トランプ氏は北朝鮮の懸念を解消するために、体制保証の第一歩として、朝鮮戦争の終戦宣言に署名する可能性に言及している。

 北朝鮮は最終的に朝鮮半島から米軍を遠ざける戦略を描いており、終戦宣言で合意すれば、平和協定への転換を急ぐよう求めるとみられる。平和協定締結に向けた交渉では、在韓米軍の撤退や縮小、米韓合同演習の中止など難題を突きつける可能性もある。

■優先度

 トランプ氏は七日の安倍晋三首相との会談後、日本人拉致問題を「必ず提起する」と断言した。だが、米朝首脳会談を「歴史的な会談」としたいトランプ氏は最近、北朝鮮に融和的な姿勢に転じており、日本人拉致問題の優先度は決して高くない。

 北朝鮮にとって、人権は触れられたくない問題だ。会談で人権問題に直結する拉致が取り上げられれば、北朝鮮が態度を硬化させる恐れもある。このため突っ込んだ議論は行われないとの見方が有力だ。

 また、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」との姿勢を崩しておらず、正恩氏が同様の主張を繰り返す可能性もある。「ゼロ回答」だった場合には、日本政府は対策の練り直しを迫られることになる。

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