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【国際】

北「体制」かけ背水の陣 後ろ盾 中国と共闘

 米国と北朝鮮の首脳が十二日、歴史上初めて相まみえる。北朝鮮の国営メディアは十一日、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長のシンガポール入りを報道。最高指導者の外遊中に動向を伝えるのは極めて異例だ。随行団に外交幹部を総動員。体制存続をかけ、トランプ大統領との会談に背水の陣で臨む正恩氏の覚悟が伝わる。(シンガポール・城内康伸、篠ケ瀬祐司)

◆公表

 「朝米首脳会談では、新たな朝米関係を樹立し、朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制を構築するための問題、朝鮮半島の非核化を実現する問題を含め、深い意見交換が行われる」

 労働党機関紙・労働新聞は十一日、正恩氏のシンガポール入りと合わせ、米朝首脳会談について、一面全面を使って報じた。最高指導者の外遊中には沈黙するのが、北朝鮮メディアの通例。しかし、今回は首脳会談が「十二日午前」と具体的な日程まで伝える異例の対応を見せた。

 労働新聞の報道は住民に広く伝わる。北朝鮮関係筋は「会談を必ず成功させるという、最高指導者の不退転の決意」と話した。国内統治に対する正恩氏の自信ものぞく。

◆メンツ

 正恩氏は十日午後、愛用の専用機「チャンメ(オオタカ)1号」ではなく、中国国際航空の大型旅客機ボーイング747に乗ってシンガポールに到着した。旧ソ連製の専用機は今回のような長距離飛行の経験がなく、安全性への懸念が理由の一つとみられた。

 驚いたことに、労働新聞は、正恩氏が「中国の専用機」で平壌を出発した、と伝え、中国の国旗が描かれた特別機に乗り込む写真まで載せた。メンツを重んじる北朝鮮の最高指導者が外国の航空機を利用したことを率直に認めたのだ。

 正恩氏は三月以降、中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席と二度の会談を行い、冷え込んでいた中朝関係を修復。対米交渉をにらんだ「後ろ盾」を確保した。習氏は朝鮮半島問題で「積極的な役割を果たす」と約束していた。北朝鮮が中国から航空機の提供を受けた背景には、中国との「共闘」を見せつけることで、トランプ氏をけん制する狙いもある。

◆宿願

 また、正恩氏はシンガポールに、信任が厚い側近と外交政策の責任者を総動員した。妹の金与正(キムヨジョン)党第一副部長のほか、金英哲(キムヨンチョル)党副委員長や李洙〓(リスヨン)党副委員長、李容浩(リヨンホ)外相、崔善姫(チェソンヒ)外務次官らが随行。目を引くのは、努光鉄(ノグァンチョル)人民武力相(国防相)をメンバーに加えている点だ。韓国・東国大学北朝鮮学科の高有煥(コユファン)教授は「非核化について、軍部を納得させるためだ」と分析する。

 祖父の故金日成(キムイルソン)主席、父の故金正日(キムジョンイル)総書記が成し得なかった、北朝鮮宿願の米朝関係改善。重要な第一歩である体制の保証を、米国から獲得しようと、「金王朝」の三代目はトランプ氏と対座する。

※ 〓は、土へんに庸

 

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