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【国際】

北、核放棄先送りでも成果 米「対話中は米韓演習凍結」

 米朝両首脳が十二日に署名した共同声明は「新たな米朝関係の確立」を明記した。米国による敵視政策転換を熱望してきた北朝鮮は、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の「卓越した外交力」の結果だと、国内で宣伝するだろう。非核化では、時期や方法について最後まで言質を与えず、核放棄の先送りに成功した。

 トランプ大統領は記者会見で正恩氏を「才能のある素晴らしい人物だ」と称賛した。正恩氏は、ポンペオ国務長官との会談やトランプ氏への親書などを通じ、繰り返し「核放棄の用意がある」と強調してきた。会談では、朝鮮戦争での米軍捕虜・行方不明米兵の遺骨返還を快諾。トランプ氏に好印象を植え付け、警戒のハードルを低くさせた。

 正恩氏は米国から「体制保証」を得ることを会談の最優先にしてきた。共同声明に朝鮮戦争の終結を盛り込むことはなかったが、「両国間の緊張と敵対関係の克服」に取り組むことをうたった。政治的な宣言であるとはいえ、北朝鮮は、宿願の米朝関係改善に踏み出す第一歩を手に入れた。

 何よりもトランプ氏が記者会見で、米朝対話が続く限り、米韓合同軍事演習を凍結する考えを表明したことは大きな成果だ。

 北朝鮮は定例の米韓演習が実施されるたびに、軍事攻撃を懸念。軍は警戒態勢を敷いた。トランプ氏の表明は北朝鮮の軍事的・精神的な負担を大きく軽減させる。北朝鮮は少なくとも当面は、米朝対話を続け、核放棄に前向きな姿勢を維持するだろう。

 正恩氏は「段階的で歩調を合わせた措置」を強調してきた。トランプ氏は「完全な非核化には、時間がかかる」と北朝鮮に理解を示したように見える。北朝鮮が交渉を長期化させ、圧力を緩和させる得意の戦術に米国を引きずり込んだといえそうだ。

 米朝両首脳が、両国関係の発展と朝鮮半島の平和構築を目指すことを確認したことで、周辺各国には平和ムードが広がり、非核化が前進する前に、中国や韓国の制裁が緩むことも懸念される。北朝鮮が今後、核放棄の前提として、朝鮮戦争の終戦宣言や、核兵器や通常兵器で攻撃または侵略しないと保証する「相互不可侵」の早期合意を米国に求めてくるのは必至だ。

 トランプ氏は記者会見で、将来的な在韓米軍の縮小・撤収の可能性に含みを持たせたことから、北朝鮮が今後、「朝鮮半島の非核化」を巡る交渉で、在韓米軍の撤収などを要求する可能性も出てきた。

 (シンガポール・城内康伸)

 

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