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【国際】

米中貿易戦争に「現実味」 トランプ政権、追加関税検討

 米国の制裁関税に中国が報復を表明したことに対し、トランプ米政権は十八日、二千億ドル(二十二兆円)の中国製品に10%の追加関税を課す検討に入った。中国もすぐさま対抗する考えを表明し、両国とも一歩も譲らない姿勢を示す。米中の貿易摩擦を受け、十九日のアジア各国の株式市場は日本をはじめ多くで下落し、世界経済に影を落とし始めている。 (木村留美、ニューヨーク・白石亘、北京・安藤淳)

 「中国が関税などで報復に出た場合、追加の関税を導入する」。トランプ大統領は十五日に対中関税の声明で宣言した。十八日の追加関税の表明は予告通りとも言えるが、市場を驚かせたのは対象となる輸入品の規模を四倍に増やした点だ。

 そもそも当初の五百億ドルの制裁関税の規模は、知的財産権の侵害や技術移転の強要による米国の被害額と同じとされてきた。しかし、追加分についてトランプ氏は「中国は知財侵害をあらためず、米国の企業や労働者、農家を脅かしている」と不満をぶちまけただけで、制裁規模を決めた根拠は見えない。

 トランプ氏は「中国がまた関税を増やせば、さらに二千億ドルの製品に追加関税を課す」とも警告。対する中国側も「強力に報復せざるを得ない」と声明を出したうえで、中国外務省の耿爽(こうそう)副報道局長は十九日の定例記者会見で「中国は貿易戦争をしかけないが恐れはしない」と述べた。

 だが、チキンレースの様相を呈している米中の対立は当事国以外にも悪影響を及ぼし始めている。十九日の株式市場は貿易摩擦の懸念から、東京市場の日経平均株価(225種)が終値で前日比四〇〇円超の下落。上海市場の代表的な指標である総合指数は約3・8%下落し二年ぶりの安値水準だった。香港のハンセン指数や韓国・ソウルの総合株価指数(KOSPI)などアジア各国で値を下げた。ニューヨーク株式市場のダウ工業株三十種平均は、前日比三一七・〇九ドル安の二万四六七〇・三八ドルで取引が始まった。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「市場は米中が対立しながらも話し合いで妥協点を探り、貿易戦争を回避するだろうとこれまで楽観視してきた。しかし、貿易戦争が現実味を帯びてきたため警戒を強めた」と変調を指摘する。

 メンツをかけた米中の対立がこのままエスカレートすれば、関税の対象となる中国製品は合計四千五百億ドルとなり、米国の昨年の中国からの輸入額(五千億ドル)に匹敵する規模になる。

 制裁関税の第一弾が発動されるのは七月六日。「報復の応酬」で引くに引けない状況になりつつある二大経済大国の対立が解消に向かわなければ、各国は株安にとどまらず、消費や投資の停滞を招く恐れもあり、日本を含む世界経済は混乱に陥ることになる。

 

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