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【国際】

離脱の国民投票から2年 英の世論、分裂続く

 【ロンドン=阿部伸哉】英国の欧州連合(EU)離脱が決まった国民投票から二十三日で二年になる。メイ政権は国内政治をまとめるのに精いっぱいで、煮え切らない英政府にEUがしびれを切らす構図は続く。その一方、欧州全体がトランプ米政権の保護主義政策やロシアの軍事的脅威に直面しており、離脱交渉どころではなくなっている。

 英世論調査機関ユーガブによる六月十一日の調査では、「離脱賛成」が40%で「残留」は45%。世論調査で「残留」がわずかにリードする傾向は二年前と大差はない。別の調査機関オピニアムによると、再度の国民投票実施に「反対」が48%で、「賛成」は38%にとどまった。

 世論の分裂は続き、打開策は見えない。ロンドンの法律事務所で五月に開かれた「ブレグジット(英離脱)セミナー」には日系企業から約百人が参加。担当弁護士は「欧州大陸に拠点を移す費用見積もりを求める顧客が多い」と話す。

 二十二日には欧州航空大手エアバスが、一万四千人を直接雇用する英国の生産拠点から撤退する準備に入ったとの報道も流れた。

 昨年六月から本格化した交渉で、「手切れ金」といわれるEU分担金の精算や英在住のEU市民の権利の問題は大筋で合意。だが、EU加盟国のアイルランドと英領北アイルランドの国境の扱いは残されたままで、英国内でも意見をまとめきれていない。

 EUは十月を期限に、英政府に実現可能な対策を示すよう迫るが、メイ政権は既に期限に間に合わないことを見越し、二〇二一年まで北アイルランドにEUの法令を事実上、適用し続ける譲歩案を出している。

 交渉の着地点が見つからない中、英・EUの両者を接近させているのは「共通の敵」の出現だ。トランプ米政権はEU相手に鉄鋼の輸入制限を発動、ロシアの軍事的な脅威や政治的な介入も深刻化している。

 EU問題に詳しいロンドン大学キングス・カレッジのキャサリン・バーナード教授は「欧州の最優先課題は安全保障と難民の問題になっている。離脱問題は『つけ足し』のような位置付けに変わった」と指摘。「交渉をなるべく長引かせることが英国とEUの共通利益だ」と話している。

<北アイルランドの国境問題> アイルランドと英領の北アイルランドは国境を接し、国際合意によって検問や通関手続きが必要ない自由往来が保証されている。しかし、英国がEUから離脱すると、国境は英・EUの境界線になる。EUは英政府に対し、離脱後も国境手続きが不要な具体策を10月までに提示するよう要求。通行車両のナンバーを自動的に読み取る技術を活用、通関手続きを省く案などが検討されるが、実現は難しいとみられている。

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