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【国際】

終戦宣言 中国が見送り促す 米朝会談前 正恩氏に

5月、遼寧省大連で習近平氏(右)と談笑する北朝鮮の金正恩氏=朝鮮通信・共同

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 中国遼寧省大連で五月上旬に開かれた中朝首脳会談で、中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席が北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し、六月の米朝首脳会談で朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)の終戦宣言を見送るよう促していたことが分かった。中朝関係筋が明らかにした。朝鮮戦争当事者の中国は頭越しに米朝間で朝鮮半島を巡る重大な決定がなされ、影響力が弱まることを懸念したとみられる。(中国総局・城内康伸)

 四月末に行われた南北首脳会談で署名された「板門店(パンムンジョム)宣言」は、「休戦協定締結六十五年になる今年中に終戦を宣言」することを明記。六月十二日に行われたトランプ大統領と正恩氏との会談では、北朝鮮の非核化とともに、朝鮮戦争の終戦が宣言されるかが注目されていた。

 中朝関係筋によると、習氏は大連会談の席上、正恩氏に対し、終戦宣言には北朝鮮とともに参戦した中国の参加が必要だとの考えを説明。米朝首脳だけで終戦を宣言することに難色を示した。中国側は米朝首脳会談までに、こうした考えを重ねて北朝鮮側に伝えたとされる。

 中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)副報道局長は五月下旬の定例会見で、「朝鮮半島問題の重要な当事者および休戦協定締結国として、中国はしかるべき役割を一貫して果たしており、引き続き果たしていく」と強調。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は米朝首脳会談直前、「終戦宣言の署名では、中国の参加が不可欠」との社説を載せていた。

 関係筋によると、習氏は大連会談で、米韓合同演習の中止を米国に求めるよう正恩氏に提案した。朝鮮中央通信によると、正恩氏は米朝首脳会談で「相手を敵視する軍事行動の中止」を求めた。米韓両政府は、今後三カ月間に予定していた三つの合同軍事演習の中止を決定した。

◆米との主導権争い 鮮明

 <解説> 共同声明に朝鮮戦争の終戦宣言が盛り込まれなかった理由について、当初は北朝鮮に対する譲歩が先行するのを米側が嫌ったという見方が強かった。首脳会談では、朝鮮半島の「完全な非核化」をいつまでに、どうやって実現するか詰め切れず、具体的な措置があいまいだったからだ。

 しかし、中国の習近平国家主席が金正恩朝鮮労働党委員長に対し、宣言を見送るよう促していたことが明らかになり、中国の意向が働いた可能性が大きいことが分かった。米中両大国が北朝鮮を挟んで、朝鮮半島情勢を巡り、主導権を争う構図があらためて浮き彫りになった。

 朝鮮戦争を正式に終わらせるには、休戦協定を平和協定に転換する必要がある。トランプ米大統領はその前提として、敵対関係を解消する政治的な終戦宣言を目指していた。正恩氏にとっても、米国に求める体制保証の第一歩で、歓迎すべき措置だったはずだ。宣言見送りは、北朝鮮が「後ろ盾」とする中国の立場に配慮せざるを得なかった可能性が濃厚だ。

 習指導部は米朝対話を支持するが、「中国抜き」で朝鮮半島を巡る交渉が進む展開を強く警戒もする。複雑に絡む周辺国の思惑が、非核化問題の解決をより困難にしている。(城内康伸)

 <朝鮮戦争> 1950年6月25日、北朝鮮軍が朝鮮半島を南北に分断する北緯38度線を越え、韓国に進攻して始まった。米軍主体の国連軍が韓国を、中国人民義勇軍が北朝鮮を支援するために参戦。53年7月27日に国連軍と朝鮮人民軍、中国人民義勇軍の3者が休戦協定を結んだが、国際法上は戦争状態が続く。

 

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