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【国際】

エルドアン大統領再選 トルコ、独裁化進む懸念

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 【カイロ=奥田哲平】二十四日に実施されたトルコ大統領選の選挙管理委員会は二十五日未明、エルドアン大統領(64)が過半数を獲得して再選されたと発表した。エルドアン氏は首都アンカラで勝利演説し、「勝者は市民一人一人だ。トルコを世界トップ10の経済国にするまで、私たちは止まらない」と宣言。名実ともに強大な権力を握ることに成功した。

 地元メディアによると、開票はほぼ終了し、エルドアン氏の得票率は52・59%。上位二人の決選投票には持ち込まれなかった。選管は二十九日に正式結果を公表する。同時に行われた議会選(一院制=定数六〇〇)でも、与党の公正発展党(AKP)と右派の民族主義者行動党(MHP)の連立が過半数を占めた。

 トルコは昨年四月の憲法改正を受け、議院内閣制から儀礼的な立場だった大統領に実権が集中する大統領制に移行。大統領が行政トップを兼ね、国会の解散権を持ち、最高司法機関のメンバーのほぼ半数の任命権を持つ。エルドアン氏の独裁的な政権運営に懸念の声が強まる中で、民主主義の根幹である三権分立が形骸化するとの指摘がある。

 選挙戦でエルドアン氏は経済成長の実績を掲げ、テロ対策を名目に「強い指導者が必要だ」と訴えた。野党側は、二〇一六年七月のクーデター未遂事件以降続く非常事態宣言の解除を求め、議院内閣制に戻すべきだと主張していた。

◆政教分離 揺らぐ 実権型大統領制に移行

 【カイロ=奥田哲平】トルコは選挙後から実権型の大統領制に移行し、一九二三年の建国以来の国の形は大きく揺らぐ。エルドアン氏は、人口八千万人の大半がイスラム教徒の地域大国をどこに導こうとしているのか。

 エルドアン氏の政治家としての歴史は、建国の父ムスタファ・ケマルが規定した国是への挑戦だ。近代化を進めるために西欧を模範とし、政教分離を徹底した世俗主義。その守護者を自任する軍や司法機関が政治介入を繰り返してきた。エルドアン氏も所属政党が解党させられ、最大都市イスタンブール市長だった九七年にはイスラムを賛美する詩を演説で使用して九八年に有罪が確定、服役した。

 二〇〇一年に穏健イスラム政党、公正発展党(AKP)を設立し〇三年に首相に就任すると、経済成長を実現すると同時に、軍や司法の影響力排除に取り組んだ。見据えるのは、イスラムの社会規範やオスマン帝国の歴史を重んじる国家への転換だ。「敬虔(けいけん)な世代を育てるのが目標」とたびたび述べ、その考えは教育問題に顕著だ。

 一般の中高校をイスラム教育を重視するイマーム・ハティプ校(宗教指導者養成校)へと徐々に転換。首相就任時の十五年前に四百五十校だった養成校は現在十倍に増えた。昨年は学習指導要領が改定された。小学校の音楽教科書からムスタファ・ケマルをたたえる歌が消え、高校の生物教科からは、イスラム教の教えが否定するダーウィンの進化論の記述がなくなった。

 一方、今年三月の演説で、オスマン帝国時代の言語を教育課程に含める意向を表明。最盛期に欧州の一部から北アフリカ、黒海や紅海の沿岸まで支配した旧帝国のようなイスラム大国復活への野望がうかがえる。

 アハラム政治戦略研究センター(エジプト)のハッサン・アブターレブ研究員は「エルドアン氏はイスラム教の守護者のように振る舞い、かつての領地にトルコの影響力を取り戻すのを夢見ている。そのために中東での積極的な介入外交を行うだろう」と指摘する。

<トルコの大統領制> 昨年4月の国民投票で憲法改正が僅差で承認され、議院内閣制から実権型大統領制への移行が決まった。首相職が廃止され、行政の長となる大統領が新設の副大統領や閣僚の任免権、予算案の提出権など広い権限を持つ。任期は2期10年までだが、2期目に議会が解散すれば、3選可能。制度移行は当初来年11月に予定された大統領選と議会選の後だったが、エルドアン大統領が4月、選挙前倒しを表明、移行も早まった。 (共同)

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