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【国際】

マレーシア・ナジブ前首相起訴 2700万円で保釈 「私は無実」主張

4日、クアラルンプールの裁判所に到着したマレーシアのナジブ前首相(中央左)=共同

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 【バンコク=山上隆之】マレーシアの司法当局は四日、政府系ファンド「1MDB」からの資金流用疑惑で、三日に逮捕したナジブ前首相(64)を起訴した。地元メディアによると、在任中の立場を利用しファンドの旧子会社を通じて資金を不正に受け取り、背任罪など計四件の罪に問われている。

 ナジブ氏は四日、首都クアラルンプールの裁判所に出廷し、保釈金百万リンギット(約二千七百万円)で保釈が認められた。記者団に「私は無実を信じている」と話し、全面的に争う姿勢を示した。同氏の広報担当者も「マハティール政権による政治的な報復だ」と非難する声明を出している。

 1MDBはナジブ氏が首相在任中に主導して設立したファンド。司法当局は1MDBの旧子会社SRCインターナショナルから、ナジブ氏の口座に四千二百万リンギット(約十一億円)が振り込まれたことが背任罪に当たるなどと判断した。

◆疑惑解明急ぐ新政権

 マレーシアを初の政権交代へ突き動かした政府系ファンド「1MDB」の資金流用疑惑は、ナジブ前首相の起訴という重大な局面に入った。疑惑の徹底追及を掲げるマハティール首相が前政権の「うみ」を出し切れるかが焦点となる。

 九十二歳のマハティール氏の動きは速かった。総選挙の三日後、インドネシアに向かおうとしたナジブ前首相夫妻を出国禁止に。前政権時代に捜査を打ち切った司法長官も更迭した。

 警察は首都クアラルンプールにある前首相の自宅など関係先を家宅捜索。押収した現金だけで総額一億一千四百万リンギット(約三十一億円)に達し、高級ブランドのハンドバッグや腕時計なども大量に見つかった。

 疑惑の発端となったのは1MDBが抱える巨額債務だった。二〇一五年に問題が表面化し、ナジブ前政権は中国企業に1MDBの資産売却を進めた。これを機にナジブ氏は「中国寄り」の外交姿勢を強めたとされ、マハティール氏が選挙で勝つ要因の一つになった。

 新政権はクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画の中止など、前政権の政策を次々に撤回。新たな「隠し債務」も見つかり、政府債務が一兆リンギット(約二十七兆円)を超え、これまでの公表値を大幅に上回ることが判明。財政再建が急務となっている。

 かつて自身の強権ぶりが「独裁的だ」と批判を浴びたマハティール氏。汚職体質の一掃や一連の改革実行に向け、連立与党内で足並みをそろえられるか。閣僚人事では手間取り、新内閣の発足が遅れた。総選挙で共闘したアンワル元副首相に「一、二年以内に首相職を譲る」と明言した老練政治家に与えられた時間は限られている。(バンコク・山上隆之)

 

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