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【国際】

核軍縮延長 合意なし 米ロ首脳、不信拭えず

 【ヘルシンキ=栗田晃】十六日にヘルシンキで行われた米ロ首脳会談では、トランプ、プーチン両大統領が関係改善を最優先に、核軍縮やシリア内戦、北朝鮮情勢などを巡り協調を演出した。ロシアによる二〇一六年米大統領選への介入疑惑をトランプ氏が追及しないままの米ロ接近は、国際的孤立からの脱却を目指すロシアにとっては狙い通りの成果だが、米国内や欧州諸国など、国際社会に大きな懸念を呼び起こす結果となった。 

 会談ではプーチン氏が二一年に期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)の延長を提案。しかしトランプ氏は核軍縮の必要性を示すだけにとどまり、合意には至らなかった。背景にはロシアが中距離核戦力(INF)廃棄条約に違反しているとの米国側の認識がある。プーチン氏も会談後の米FOXニュースのインタビューで、「米国は新STARTを完全には順守しておらず、実務者レベルで協議すべきだ」と語るなど、核兵器を巡る相互の不信感は非常に深い。

 一年ぶりの首脳会談は、十一月の中間選挙をにらんで、外交実績づくりを狙うトランプ氏が呼び掛ける形で決まった。ロシアとしては、国際的に批判を受ける諸問題でいかなる譲歩も求められずにトップ会談が転がり込んだ。いわば「渡りに船」だった。米大統領選介入についてプーチン氏が「一切介入していない」と従来の主張を繰り返したが、トランプ氏はこれを批判しないばかりか、理解すら示して、国際社会に衝撃を与えた。

 欧米とロシアが対立を深めるきっかけとなった一四年のウクライナ南部クリミア半島の併合についてはトランプ氏が「違法だ」とした一方、プーチン氏は「住民投票の結果で正当だ」と双方の立場を確認しただけ。トランプ氏はロシアを糾弾せず、「許してしまったオバマ(米前大統領)の責任だ」と強調しており、もともとプーチン氏を追及する意思はなかった。

 通訳のみを交えた一対一の会談は予定の一時間半を超え、二時間以上に及んだ。ロシアにとり、首脳間の個人的関係が深まったことは予想以上の成果だ。ロシア疑惑を抱えるトランプ氏との会談が実現したこと自体が成果で、それ以上の期待はしていなかったとみられるからだ。プーチン氏はインタビューで、会談が欧米によるロシア孤立化政策を克服する転換点になったかと問われ、「彼らの努力は失敗に終わった」と自信をのぞかせた。

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