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【国際】

カンボジア、独裁加速へ 総選挙 国際社会の目厳しく

29日、カンボジア・カンダル州の投票所で、二重投票防止用のインクを付けた指を見せるフン・セン首相(右)=共同

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 カンボジア総選挙は与党カンボジア人民党が圧勝し、フン・セン首相は三十三年の在任期間をさらに延ばす見通しだ。なりふり構わぬ手法で、人民党は国会の議席を拡大。フン・セン氏の独裁が加速する恐れが強まる。 (バンコク支局、北川成史)

 「日曜日だから問題ない」。十五日、同国北西部で、人民党の集会に参加した軍高官は平然と答えた。公務員や軍人、警察官が人民党の選挙運動に加わる光景はめずらしくなかった。

 総選挙では、最大野党救国党を解散させ、選挙に参加させなかった強権的手法はもとより、選挙期間中も不公平感が広がっていた。

 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は「(軍人らの行動は)政治的中立を定めた国内法に違反する」と批判。反与党勢力の「草の根民主党」は、治安部隊にリーフレットの配布を阻まれるなど、嫌がらせを受けたと訴えた。

 救国党の幹部らが投票棄権を呼び掛けたのに対し、フン・セン政権は法的措置をちらつかせ、投票率向上を必死に進めた。だが、独立系の選挙監視団体が政権の姿勢を問題視し、今回は活動を縮小。投票結果の信頼性はさらに揺らぐとみられる。

 救国党支持者の会社員男性(34)は「与野党が平等に勝負するのが自由な民主主義。こんな選挙は納得できない」と切り捨てた。

 経済圏構想「一帯一路」のもとで経済援助を惜しまぬ中国を後ろ盾に、フン・セン政権は力で国民を押さえ付けているが、政権長期化で、汚職や貧富の差への不満は蓄積している。

 公正さとかけ離れた選挙後は、国際社会のカンボジアに向ける目が厳しさを増すのは避けられない。

 内戦後初の総選挙が実施された一九九三年からカンボジアに関わる米倉雪子(ゆきこ)昭和女子大准教授(国際協力)は「権威主義を強めるのか、真の自由民主主義を推進するのか、岐路に立っている」と懸念。内戦終結に関与した日本や欧米などが協力し、民主化の進展を働き掛けるよう強く求めた。

 

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