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【国際】

ロシア 年金改革反対デモ W杯開幕時に発表したが…プーチン氏、対応苦慮

7月28日、モスクワ中心部で「年金で生きたい」などの訴えを掲げて歩む年金改革反対のデモ参加者ら=栗田晃撮影

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 【モスクワ=栗田晃】ロシアの年金改革に国民が反発を強めている。政府は制度維持を理由に受給開始年齢の引き上げを議会に提案し、今秋にも可決される見込みだが、世論調査では国民の九割が反対する。強行すれば人心を失いかねず、支持率を頼みにしてきた「ポピュリスト」のプーチン大統領が苦しい選択を迫られている。

 改革案では受給開始年齢を段階的に引き上げる。男性は来年から二〇二八年までに、現在の開始年齢の六十歳を六十五歳に引き上げる。女性も三四年までに、五十五歳を六十三歳とする。成立すれば旧ソ連時代を含めて約六十年ぶりの改正となる。

 モスクワ中心部で七月二十八日、共産党が中心となった反対デモが開かれた。警察発表で約六千五百人が集結。法律事務所に勤めるガリーナ・イリイナさん(45)は「六十三歳までどこが雇ってくれるの? 受給額は増えるというけれど、インフレが進めば役に立たない」と語気を強めた。

 若者の姿も目立った。会社員アルテミー・カタノビッチさん(25)は「財政難なら富裕層が優遇された税制改革が先だ」と強調。デモは同じ日にロシア国内の約二十都市で行われた。

 政府はサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会が開幕した六月十四日に年金改革案を発表。祭典の陰で反発を和らげようとしたが、もくろみ通りには進んでいない。プーチン氏は〇五年に「私が大統領でいる限り(受給年齢を)引き上げない」と明言していた。「前言撤回」の印象は強く、政府系世論調査でさえ支持率を15ポイント近く下げた。

 ソ連崩壊後の一九九〇年代に六十代半ばまで落ち込んだ平均寿命は七十代前半まで伸長。一方、現在でも男性の平均寿命が約六十歳にとどまる地方があり、急速で一律の改革には抵抗が大きい。

 沈黙してきたプーチン氏だが、七月二十日に初めて言及。「どんな改革案も好まない」と国民に同調しつつ「将来のことを考えれば経済状況を考慮しなければいけない」と玉虫色の内容に苦しさがのぞいた。政治情報センターのアレクセイ・ムーヒン所長は「支持率を考慮し、最終的には穏当な内容に修正するのではないか」とみる。

 

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