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【国際】

米、イラン制裁 なぜ再び発動 「外貨で核」資金源断つ狙い

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 トランプ米政権がイランに経済制裁を再発動します。国際合意から離脱するほどイランを敵視するのはなぜか、イランは制裁にどう対応し、制裁は世界にどんな影響を与えるのか、二回にわたり考えます。

 Q イラン核合意とは。

 A 極秘の核開発計画が発覚したイランと、核兵器保有阻止を目指す米英仏独中ロの六カ国が二〇一五年七月に結んだ合意です。イランは、濃縮ウラン貯蔵量の削減や、兵器級プルトニウム生産の禁止、査察強化などを受け入れ、欧米は、見返りとして経済制裁を解除。イランは原油や天然ガスを輸出できるようになりました。

 Q トランプ大統領は、なぜ合意離脱に踏み切ったのですか。

 A トランプ氏は大統領選挙期間中から、合意が核開発の制限を一定期間後に解除し、ミサイル開発を黙認していることなどから「最悪の取引(ディール)」と批判し、オバマ前大統領の政策を転換すると公約していました。

 Q 選挙対策の側面もあるのですか。

 A イランの敵国イスラエル寄りの政策を推進し、巨額の政治献金をしてくれるユダヤ系や、米国最大の宗教勢力で米人口の四分の一を占めるキリスト教右派の福音派といった親イスラエルの支持層を固める思惑もあります。

 Q イランを敵視するのは、対イスラエル関係だけが理由ですか。

 A 一九七〇年代まではイランのパーレビ国王が親米で良好な関係を築いていましたが、七九年のイラン革命で体制が崩壊。その後、国外逃亡したパーレビ元国王を受け入れた米国に怒ったイランの学生らがテヘランの米大使館人質事件を起こし、米国民の感情は一気に悪化しました。米国は八〇年にイランと国交を断絶しています。

 Q トランプ政権にとって、イラン核は北朝鮮の核問題とどう違うのですか。

 A 核・ミサイル開発を認めないという強硬姿勢は同じで、イランには核開発の完全断念など十二項目の要求を突き付けています。トランプ氏には北朝鮮に経済制裁で「最大限の圧力」をかけて、歴史的な米朝首脳会談を実現させたという自負があります。イランにも制裁を再発動することで譲歩を引き出すのが狙いです。

 Q 制裁の内容は。

 A 第一弾は自動車や貴金属などの取引が制裁対象となり、ペルシャじゅうたんの対米輸出、旅客機の対イラン輸出も禁止します。第二弾では、イラン産原油を制裁対象に加え、イラン中央銀行も国際金融から締め出します。日本や欧州など第三国企業の取引も制裁対象となり、罰金が科せられるため、大きな影響を受けます。

 Q なぜ制裁を再開するのですか。

 A 米国は、イランが貿易や金融取引で得た外貨を核開発に使っているとみており、その資金源を断つのが狙いです。

 (ワシントン・後藤孝好)

 

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