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【国際】

米制裁でイラン物価高 トランプ氏退陣を待つ?

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 イラン政府は、トランプ米政権が復活させる経済制裁を受け、反米強硬論に傾き、核開発を再開するのでしょうか。ロウハニ政権はこの難局をどう乗り切るのでしょうか。

 Q 核計画の完全放棄を求める米国にイランはどう主張していますか。

 A イランは世界有数の産油国ですが、将来の資源枯渇対策を理由に原子力発電が必要だと主張。平和利用に限っているとして、核兵器開発計画を認めていません。欧米との核合意でウラン濃縮規制を受け入れた結果、国際原子力機関(IAEA)は合意を順守していると認めており、イランにとって米国の主張は不当な圧力に映ります。

 Q なぜ弾道ミサイル開発も続けるのですか。

 A 独自の技術開発は民族の誇りで、自衛行為と考えています。

 Q 制裁がイランの経済、社会に与える影響は。

 A イランは、国家予算の三割が原油輸出などの石油関連収入。米国が世界各国に要求する輸入停止が現実になれば、経済は崩壊しかねません。既に通貨下落による物価上昇が市民生活を圧迫。銀行の不良債権などの問題もあり、今年に入って抗議デモが全国で頻発しています。

 Q 世界への影響は。

 A イラン進出企業の既得権益を守りたい欧州は、核合意を維持して取引を継続する可能性を模索していますが、制裁で米市場を失いたくない企業のイラン離れも加速しています。

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 Q 原油価格はどうなりますか。

 A 十一月に始まる制裁第二弾で石油取引に制裁が科されると、流通量が減って価格を押し上げる要因になります。石油輸出国機構(OPEC)は供給不足を補完するため協調減産の緩和で合意し、イラン最大の輸出相手国である中国も米国の禁輸要請を拒否する姿勢です。このため輸出量は大幅には減少はしないとの見方もあり地政学リスクの上昇にもかかわらず、原油価格は一バレル=六〇ドル台後半に下落しています。

 Q 制裁に対抗してイランがホルムズ海峡を封鎖する可能性は。

 A ホルムズ海峡は世界の原油の二割が通過する重要航路で、日本が輸入する原油の実に八割が通ります。バーレーンに第五艦隊を置く米軍は、封鎖は「越えてはならない一線」とし、軍事緊張が一気に高まります。ただ海峡は一部がオマーン領海のため、イランは一方的に封鎖できません。前政権も脅し文句に使いましたが、実際に封鎖しませんでした。

 Q イランが核合意から離脱し、核開発を再開する可能性は。

 A 米国をけん制するため、ウラン濃縮活動や核施設整備を強化する構えを示していますが、今のところ核合意に違反する考えはないようです。合意維持で一致する欧州諸国の離反を招きかねないからです。

 Q イランは危機打開に向けて、どんな戦略を描いているのですか。

 A 米国に対する有効な対抗策はないのが実情です。制裁の影響を最小限にとどめる措置を講じつつ、国民を結束させて迫り来る難局を耐え忍び、トランプ政権が次期大統領選で敗北するのを待つ。最高指導者ハメネイ師は、いわば米国との「持久戦」に持ち込んだとの見方もできます。 (カイロ・奥田哲平)

 

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