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【国際】

エジプト、今なお「密航の町」 難民らに「リビア経由欧州行き」あっせん

密航の町として知られたエジプト北部ラシード。ナイル川河口では、漁船や渡船が頻繁に航行している=奥田哲平撮影

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 【カイロ=奥田哲平】アフリカや中東から欧州に向かう難民・移民は一時期よりも減少傾向にあるが、地中海を渡る密航は今も絶えない。沿岸警備を強化したためにエジプトから直接欧州に向かえなくはなったものの、エジプトは最大の出発地リビアへの経由地になっている。密航業者は「監視が厳しくても抜け道はある」と明かす。

 ナイル川河口にあるエジプト北部ラシード。難民らには密航の町として知られたが、二〇一六年九月に二百人を超す死者を出した沈没事故を受けて一転。密航船摘発と仲介業者らへの罰則が強化され、政府は事故後にエジプト出発の難民はいないと主張している。

 だが密航業者の男性は、今年に入ってエジプト人ばかり二百人がラシードからリビアに渡ったと明かす。かつてのようにゴムボートに数百人を乗せるのは難しいが、現在の手口は正規のリビア船籍の漁船を使い、その乗組員を装う。費用は一人一万五千エジプトポンド(九万三千円)。「アフリカ系は途中の沿岸警備で疑われる。引き受けるのはエジプト人だけ」という。海路を諦めたアフリカ系難民らには陸路をあっせんする。

 最近は戦禍を逃れた難民よりも、豊かな暮らしを求める「経済移民」が増えている。密航業者の男性は「エジプトに仕事はなく、アフリカは貧困や紛争が絶えない。家族一人が欧州に行くだけで全員を養える。私の仕事は人助け」と正当化した。

 五年前からエジプトの首都カイロで暮らすスーダン出身の男性(33)は、数カ月以内のリビア行きを計画している。ダルフール紛争で政府軍に拘束され、国連に難民認定を受けた。「母国で民族差別を受け、逃れたエジプトでは黒人だからと虐げられ、生活が苦しい。欧州で新しい人生を築きたい」と話す。

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 男性は一六年三月に一度、イタリアまで連れて行くとの約束で仲介業者に二千ドルを支払い、陸路でリビア密入国を図った。しかし徒歩で国境を越えようとした際に銃撃を受けて戻らざるを得なかった。一カ月前に長男が生まれたばかりだが、一緒に連れて行くつもりだ。「途中で死んだら、それは神が決めた運命だ」

 

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