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【国際】

中国外交攻勢 独立けん制 台湾とエルサルバドル断交

21日、北京で、国交樹立の文書を交わすエルサルバドルのカスタネダ外相(左)と中国の王毅国務委員兼外相=共同

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 【北京=中沢穣】中米エルサルバドルが二十一日、台湾と断交し、中国との国交を樹立させた。台湾の蔡英文(さいえいぶん)総統が二十日深夜に台湾が外交関係を持つ中南米二カ国歴訪を終えたのを狙いすましたようなタイミングで、「断交ドミノ」に苦しむ台湾にとっては再び打撃となった。中国政府は独立志向の強い蔡政権への外交攻勢を強めつつ、台湾の企業や市民には優遇策で取り込みを図っている。

 中国の王毅(おうき)外相は二十一日、北京の釣魚台迎賓館でエルサルバドルのカスタネダ外相と国交樹立に関する共同声明に署名した。声明は「一つの中国」原則の確認など中国が国交樹立の際に必須とする内容を含む。王氏は「エルサルバドルの国民は中国との協力で確実に利益を得るだろう」と強調した。

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 蔡政権が二〇一六年に発足して以来、中国は台湾と外交関係を維持する国の切り崩しに力を注ぐ。断交したのはこれで五カ国目で、国交がある国は十七カ国まで減った。台湾当局には危機感もうかがえる。呉〓燮(ごしょうしょう)外交部長(外相)はエルサルバドル政府から「巨額の資金援助をしつこく求められていた」と明かし、「中国との『札束競争』には乗らない」と強がってみせた。

 蔡氏は十二〜二十日、中米のベリーズと南米パラグアイを訪れて友好関係を確認し、往復とも米国を経由した。台湾は米国との緊密さをアピールして中国をけん制し、米国は台湾問題で中国に圧力をかけた形だ。しかし中国政府は、蔡氏の帰国直後に米国の裏庭である中米のエルサルバドルを断交させ、圧力に屈しない強い姿勢を見せつけた。

 一方で中国は台湾企業や市民の懐柔策を強めている。北京のIT企業が集まる中関村の「台湾青年創業ステーション」は起業を目指す台湾の若者が無料で事務所として使え、法人登記などの手続きも手伝う。

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 また、今年二月には公共事業への参入や税制面で台湾企業に国内企業と同じ待遇を与えたほか、台湾市民が国家試験を受験できるようになった。さらに八月十六日には香港・マカオと並び、台湾の市民にも「居住証」を発給すると発表した。

 いずれの措置も、台湾市民の大陸への好感度を高め、経済的に取り込む狙いがあるとみられる。

※ 〓は、金にりっとう

 

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