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【国際】

「虐殺疑い」国連報告 ロヒンギャ迫害 ミャンマーに批判

 【バンコク=北川成史】ミャンマーで迫害されたイスラム教徒少数民族ロヒンギャの隣国バングラデシュへの大量流出が始まって一年が過ぎ、難民帰還や責任追及に向けたミャンマー政府の取り組みの遅れやアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相の指導力不足に、国際的な批判が高まっている。国連調査団は同国軍によるジェノサイド(民族大量虐殺)の疑いにまで踏み込んだ報告書を発表したが、スー・チー氏は一連の動きに沈黙している。

 「沈黙し続けるぐらいなら、辞任した方がよかった。軍のスポークスマンになる必要はない」。国連のゼイド人権高等弁務官は三十日、英BBCのインタビューでスー・チー氏の姿勢に強い不満をあらわにした。

 「一年以上、支援に努めたが、難民が安全、自主的、持続的に帰還する状況ではない」。国連のグテレス事務総長は二十八日、米ニューヨークでの国連安全保障理事会の会合で、ロヒンギャの居住地であるミャンマー西部ラカイン州の状況に懸念を表明。「復興や和解、人権の尊重を実現していない」とスー・チー氏ら指導者を批判した。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などは六月、同国と協力覚書に署名したが、昨年八月下旬以降発生した七十万人に上る難民の帰還は進んでいない。

 国連人権理事会が設置した国際調査団は今月二十七日発表の報告書で、ジェノサイドを主導した疑いで、同国軍最高司令官ら幹部六人の名を挙げ、安保理に国際刑事裁判所(ICC)への付託か特別国際法廷の設置を提言。スー・チー氏についても「迫害を防ぐため、国家指導者としての地位を行使しなかった」と迫害への無策を非難している。

 報告書を受け、米フェイスブック(FB)は同日、軍の最高司令官など二十の個人や組織の利用を禁止したと発表した。FBは同国で軍の情報発信手段だったほか、ロヒンギャへの憎悪表現の場になっている。

 ミャンマー政府はこの国連報告の受け入れを拒否。ゾー・テイ報道官は二十七日、現地記者らに「国際社会によるぬれぎぬに対応するため、(人権侵害に関する)独立調査委員会を(七月末に)設置した」などと主張し、報告書やFBの決定に反論した。

 難民への聞き取り調査を独自に実施したオーストラリア・スウィンバーン工科大のモーシン・ハビブ上級講師は「一年たち、証拠が壊された後の設置に真剣な決意があると思えない」と指摘。「帰還を促すには、ミャンマーがロヒンギャへの差別を正さなくてはならない」と強調した。

 

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