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【国際】

シリア軍 イドリブ県総攻撃迫る

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 【カイロ=奥田哲平】内戦下のシリアで反体制派が「最後のとりで」とする北西部イドリブ県を巡り、軍事的緊張が高まっている。奪還作戦を始める構えのアサド政権軍に対し、国連は八十万人の難民が発生するとして戦闘回避を求める。一方、米国は政権軍による化学兵器使用の懸念を強め、「傍観することはない」と軍事行動に踏み切る可能性を示唆している。

 政権軍を支援するロシアは一〜八日、地中海で大規模な軍事演習を実施。タス通信によると、潜水艦を含む二十八隻の艦船と航空機が参加する。イドリブ県での作戦協力に備えるとともに、米国の動きをけん制する狙いもあるとみられる。

 同県内では国内各地から撤退した反体制派やイスラム過激派が群雄割拠している。中心は、国際テロ組織アルカイダ系の「シリア解放機構」(旧ヌスラ戦線)。ロシアのラブロフ外相は先月三十日、「シリアとロシアにはテロ組織を排除する権利がある」と明言。政権軍は既に周辺に部隊を配置し、地上進攻に備える。

 これに対し、反体制派を支援してきたトルコは、戦闘激化で難民が押し寄せるのを懸念。チャブシオール外相は三十一日、「悲劇的な状況をもたらす」として反対姿勢を明確にした。トルコは、戦闘を回避するためにシリア解放機構の解散を模索しているとされる。

 ただ、同機構に近いニュースサイト運営者ムハンマド・アラアブド氏は、本紙の電話取材に「トルコに頼れば全てを失う。陣地構築や軍事訓練を急ピッチで進めており、戦うしか選択肢はない」とする。ロシアとトルコ、イラン三カ国の首脳会談が今月七日に開かれる予定で、イドリブ県を巡る交渉が正念場を迎える。

 一方、本格的な戦闘が始まれば、化学兵器が使用されるとの懸念が国際社会で高まっている。今年四月には首都ダマスカス近郊の東グータ地区で塩素ガスが使用され、米英仏が化学兵器研究施設などをミサイル攻撃した。マティス米国防長官は「米政権はこれまでに二回行動を起こした」とけん制する。

 反体制派側は先月三十日、「政権軍が化学物質の入ったたるを持ち込んだ」と主張したのに対し、ロシアも反体制派が化学兵器を用意していると非難。いずれも信ぴょう性は不明だが、国際世論を有利に誘導する情報戦が始まっている。

 同県南部ハンシャイフンでは昨年四月に神経ガスのサリンが使用され、市民八十人以上が死亡。国連は政権軍が使用したと結論付けた。住民のムハンマド・ユセフさん(23)は「政権軍が近くに迫り、とても怖い。家財道具を売り、トルコへの密入国を試みるつもりだ」と話している。

 

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