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【国際】

中国化、加速の恐れ 香港−広東 高速鉄道開通

23日朝、香港中心部の西九竜駅構内で、香港側エリアと中国側エリアを分ける線上で記念撮影する人々=中沢穣撮影

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 【香港=中沢穣】香港と中国大陸を結ぶ高速鉄道が二十三日、営業運転を開始した。広東省と香港、マカオを一つの経済圏として開発する中国政府主導の「グレーターベイエリア」構想の一環だ。しかし香港側の始発駅の西九竜駅では中国の司法権が及ぶことから、「一国二制度」に基づく香港の自治が揺らぐことへの懸念も出ている。

 二十三日は早朝から、香港中心部の西九竜駅周辺は抗議運動などを警戒し、多数の警察官が取り囲んだ。利用客でごった返す駅構内は香港側エリアと中国側エリアに分かれ、中国国旗を手に記念撮影する人も。中国側では中国の警察官が厳しい視線を投げ掛け、写真をとろうとすると、厳しい口調で制止された。「中国」に入ったことを実感する。

 中国側では中国政府当局者が税関や出入境の手続きを行い、犯罪は中国の法律によって裁かれる。家族が広東省広州市に住むという香港市民の女性(28)は「便利になったけど、駅を別の場所に造るなどほかの方法もあったのでは。中国本土がだんだん香港を侵食する感覚がある。評価は難しい」と話した。

 香港メディアによると、同日午前、香港に向かう列車への電力供給が途絶え、同省深セン(しんせん)と香港の間のトンネル内で八分間、立ち往生した。当局は発表しておらず原因不明という。

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 開通によって香港から上海や杭州への移動が便利になり、特に広東省との一体性が高まると期待される。年内には香港とマカオ、同省珠海を結ぶ約五十五キロの海上大橋も開通し、交通網がさらに拡充する。

 ベイエリア構想は同省の九都市とマカオ、香港が対象で、東京やニューヨークを超える都市圏を目指す。域内人口約七千万人は中国の約5%だが、国内総生産(GDP)は12%を占める。昨年七月に中国政府と同省、香港、マカオの各政府が協定を結び、国家戦略として動き始めた。中国政府が主導する長期的な国家戦略に香港が組み入れられたことになる。

 香港の政治評論家の劉鋭紹(りゅうえいしょう)氏は「高速鉄道開通は経済的にはチャンスだが、中国政府にとっては香港への政治的影響力を高める好機ともなる」と話す。グローバル企業を引きつけてきた香港の独立した法制度などが失われる恐れもあり、劉氏は「経済的、政治的に中国への従属が進んでおり、一国二制度は岐路にある」と危惧する。

 

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