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【国際】

バチカン 中国合意 香港教区元トップが批判「法王庁は信者を売った」

24日、香港で、中国政府とバチカンの暫定合意を批判する陳日君枢機卿=中沢穣撮影

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 【香港=中沢穣】キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ法王庁)が、中国国内の司教任命をめぐり中国政府と暫定合意に達したと発表したことを受け、カトリック香港教区元司教の陳日君(ちんじつくん)枢機卿(86)が二十四日、本紙の取材にこたえた。陳氏は「ローマ法王庁は中国の信者を売り渡した。絶望している」と批判した上で、中国や香港における信仰の自由の行く末について悲観的な見方を示した。一問一答は以下の通り。

 −発表をどうみるか。

 「失望している。暫定合意の内容を秘密にしていることからも、相当に悪いものだろう。バチカンが(中国政府が公認した)司教を承認することは予測されていたことだ。問題は今後、中国政府が選んだ司教をローマ法王が拒否できるかどうかだ。拒否が可能だという人もいるが、難しいだろう」

 −中国には政府が公認していない地下教会の信者が多数いる。

 「彼ら(地下教会の信者)はとても恐れている。ローマ法王が承認されたのなら、(中国政府の公認教会を)受け入れざるを得ないと考えている信者もいる。一方で(中国政府公認の教会は)正しくないとの考えを維持する信者も多い。彼らは絶望し、怒っているが、ローマ法王を攻撃してはいけない」

 −バチカンはなぜ中国と暫定合意したのか。

 「公認教会と地下教会を統一すれば満足なのだろう。(バチカンが北京に派遣した代表団は)信仰がなく、外交官だ。外交が成功し、信者をだまして喜んでいる。中国共産党がひどいということをローマ法王に伝えてない。だからローマ法王は楽観的だ。中国はバチカンを利用して信者を攻撃するだろう。中国の信者は売り渡された。とても絶望している」

 −中国とバチカンは急速に接近している。

 「中国政府は邪悪かつ強硬であり、譲歩しないのは明らかだ。バチカンが一方的に譲歩したと思う。今回の間違った決定はローマ法王の意思でないと思いたいが、暫定合意に達したのなら承認されたのだろう」

 −中国や香港で信仰の自由は維持できるか。

 「将来については悲観的にならざるを得ない。しかしわれわれはどんな圧力も恐れない。良心を売り渡したりしない」

<陳日君(ちん・じつくん)> 1932年、上海生まれ。12歳の時に修道院に入り、マカオのサレジオ中学校長などを経て2002年から09年までカトリック香港教区司教を務めた。

 

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