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【国際】

「サハリン橋」構想再浮上 ロシア本土と結び、夢は日本接続も

ロシア本土と結ぶ海路輸送の拠点となるサハリン西岸のホルムスク港。橋によって、天候に左右されない輸送が可能になるとの期待もある

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 ロシアの本土と極東のサハリン島を結ぶ橋の建設構想が再び注目されている。旧ソ連のスターリン時代から浮かんでは消えたが、プーチン大統領が今夏、建設に向けた採算検討を地元責任者に指示した。ただ地元住民からは「もっと優先的にお金をかける分野があるはず」と冷ややかな声も上がっている。 (ロシア極東サハリン州で、栗田晃、写真も)

 プーチン氏は今年七月、サハリン州知事と会談した際、「橋は昔からの住民の夢だ」と発言。極東振興への意欲をアピールする狙いとみられる。タス通信によると、スターリンは一九五〇年、サハリンと大陸間の連絡道建設を指示。一部建設も始まったがスターリン死後、中止に。約二十年前も建設検討の動きがあったが、立ち消えになった。

 サハリン州政府のシドレンコ副首相は本紙の取材に、対岸のハバロフスク地方と合同で作業部会を設置したことを説明。「橋の効果を、政権に分かりやすく説明できるかにかかっている」と意欲を見せる。

 ロシアが併合したクリミア半島と本土を結ぶ、今年五月に開通した全長十九キロの橋は総工費約二千三百億ルーブル(約四千百億円)。サハリンと本土を隔てるタタール海峡(間宮海峡)の最も狭い部分は六キロ程度だが、鉄道や道路を延伸する範囲が非常に広く、クリミア橋を上回る超大型プロジェクトになるのは確実という。

 経済紙ベドモスチによると、ロシア鉄道は、橋、鉄道で計五千四百億ルーブル(約九千七百億円)を要すると試算。貨物量は三倍超増えると見込むが、専門家や匿名の政府職員は、「貨物量の予測や建設費の見積もりが正しくない」と経済効果を疑問視した。

 シドレンコ氏も目先の採算は厳しいことは認めつつ「五十年、百年後を見据えるグローバルなインフラ事業を戦略的に評価すべきだ」と訴える。

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 サハリン橋の経済効果を高めるためロシアにはその先のプランもある。宗谷海峡を挟んでサハリンから約四十キロの北海道を結ぶ大橋建設の構想だ。ロシアは日ロ協力の目玉になり得るとして、「橋でつなげば、日本も欧州まで続く大陸国になれる」と働き掛けるが、安全保障上などの問題もあり、日本は静観の構えだ。

 一方、プーチン発言とは裏腹に住民の間でもサハリン橋建設には疑問の声も少なくない。

 地元メディアが九月に実施したネット調査では、48%が「橋はサハリンの発展に役立つ」と答えたが、計49%が「無駄だ」「予算が盗まれる」と否定的な回答。ユジノサハリンスクの病院職員の女性(27)は「もっとほかに取り組む問題があるし、橋は最優先ではない」と指摘した。

 

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