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【国際】

元徴用工への賠償確定 韓国最高裁 新日鉄住金に命令

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 【ソウル=境田未緒】日本の植民地時代に強制労働させられたとして元徴用工の韓国人ら四人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟で、韓国大法院(最高裁)は三十日、同社の上告を棄却し、一人当たり一億ウォン(約一千万円)を支払うよう命じた二〇一三年のソウル高裁判決が確定した。日本企業に賠償を命じる判決が確定したのは初めてで、日韓関係は新たな火種を抱え込んだ。

 日本政府は、元徴用工の個人請求権は日韓国交正常化に伴う一九六五年の日韓請求権協定で解決済みとの立場。これに対し十三人の判事全員による審理では、七人が「請求権協定は日本の不法な植民地支配に対する賠償請求交渉ではなかった」と結論づけ、強制動員被害者の日本企業への慰謝料請求権は協定の適用対象外だとした。一方、協定に含まれるとした反対意見は二人だった。

 原告らは二〇〇五年二月に提訴。一、二審では時効などを理由に棄却された。だが一二年に最高裁が「個人請求権は消滅していない」と審理を差し戻し、一三年にソウル高裁が賠償支払いを命じた。

 元徴用工による損害賠償請求訴訟は、高裁と地裁を含めて他に十四件あり、今後は一、二審ですでに賠償命令が出たものも含めて日本企業側が敗訴する公算が大きい。

 韓国政府が認定した元徴用工は二十二万人で今後、提訴が相次ぐ可能性がある。同様の訴訟が起きている中国や、徴用工問題を「過去の清算」として賠償を求める北朝鮮にも影響を与える恐れもある。

 韓国の歴代政権は、徴用工問題は協定で解決済みという立場を維持してきたが、判決を受けて再検討を始める見通し。李洛淵(イナギョン)首相は「司法判断を尊重し、判決と関連した事項を綿密に検討する」とした政府の立場を発表した。

 新日鉄住金は「日韓請求権・経済協力協定と日本政府の見解に反するもので、極めて遺憾」と書面でコメントを公表。判決に応じなければ、韓国内の資産を差し押さえられる可能性があるが、同社は資産の有無を明らかにしていない。

<日韓請求権協定> 国交正常化を定めた1965年の日韓基本条約と同時に締結された付随協約。第1条で日本の韓国に対する経済協力として、当時の約1080億円に当たる3億ドルを無償供与し、別に2億ドルの長期低利貸付を行うことを定めた。第2条で日韓両国とその国民の間の財産、権利、利益、請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」ことを確認。第3条では協定に関する紛争はまず外交で解決し、解決しない場合は仲裁委員会の決定に服すると規定した。 (共同)

 

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