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【国際】

イエメン内戦3年超 終結は 米、サウジに空爆停止要求 記者殺害影響か

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 【テヘラン=奥田哲平】泥沼化するイエメン内戦を巡り、トランプ米政権の高官が相次ぎ、軍事介入するサウジアラビアなどに早期停戦と十一月中の国連主導の和平協議開催を受け入れるよう求めた。サウジ人著名記者ジャマル・カショギ氏の殺害事件で、サウジ政府への非難が高まっているのを受け、擁護姿勢から転換したとみられる。

 ポンペオ国務長官は先月三十日、「敵対行為を止める時だ」と戦闘当事者に停戦を呼び掛ける声明を発表。サウジ主導のアラブ連合軍に対し、イエメンの人口集中地域への空爆を停止するよう要求した。マティス国防長官も同日に「われわれは和平に向かって動かなければならない。将来ではなく、三十日以内に行う必要がある」と訴えた。

 三年以上にわたるイエメン内戦は、サウジが推すハディ暫定政権と親イランの反政府武装勢力フーシ派が対立し、中東で覇権を争う両国の「代理戦争」の様相を呈している。サウジなどが二〇一五年に軍事介入し、米軍が後方支援で関与。「世界最悪の人道危機」(国連)を招いている。

 八月には連合軍の空爆が、病院や子どもの乗ったバスを誤爆し、民間人の犠牲者が深刻化。米議会では、サウジへの弾薬供与が人道危機を悪化させているとの批判が上がったが、米国務省は九月、サウジが民間人被害を抑える措置を採ったとして擁護し、支援継続を決めていた。ただ、イエメン内戦を非難していたカショギ氏の殺害事件でサウジ側の計画的殺人が明らかになり、米議会ではサウジへの武器輸出停止を求める動きが強まっている。早期停戦への呼び掛けで、米政府としては議会や国際社会に一定の配慮を示した形だ。

 これを受け、ハディ暫定政権は和平協議受け入れの姿勢を表明。連合軍やサウジ政府は今のところ反応を示していない。連合軍は一日、首都サヌアの空港やフーシ派の弾道ミサイル発射基地を空爆した。

カッペラエレ代表が1日に訪問したホデイダのサウラ病院に入院する子どもと母親=ユニセフ提供

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◆ユニセフ中東代表に聞く

 国連児童基金(ユニセフ)の中東・北アフリカ地域事務所のヘルト・カッペラエレ代表が1日、視察中のイエメンから本紙の電話インタビューに応じた。先月30日から3日までの日程で、反政府武装組織フーシ派が掌握する首都サヌアや、ハディ暫定政権軍が包囲する西部の港湾都市ホデイダで病院などを訪問した。(奥田哲平)

 市民は内戦にうんざりしている。訪問した病院で母親たちは、子どもを失う恐怖でパニック状態だった。家庭を訪問して会った女性は、肉や野菜を含む家族のために新鮮な食事を得ることが夢になったと語っていた。彼らはこれ以上耐えることができないだろう。

 イエメンでは五歳未満の百八十万人の子どもが栄養失調で苦しんでいる。このうち治療を受けているのは四十万人。栄養失調の子どもの40%がホデイダや周辺に住み、いかにイエメン北西部が深刻かが分かる。

 コレラなどの予防接種は、四割の子どもしか受けられていない。その結果、接種すれば防ぐのが簡単な病気でも、十分間に一人の割合で子どもが亡くなっている。そして双方の勢力が子どもを兵士に勧誘し、戦場で命を落としている悲しい現実がある。

 私は双方の政府高官に面会し、彼らが自分の子どもに何を強いているか明確に伝えた。イエメン内戦で初めに犠牲になっているのは子どもだ。内戦は今や、子どもに対する戦争になっている。この悲劇に終止符を打たなければならない。

 

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