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【国際】

ファーウェイ副会長 カナダ逮捕 米中、ハイテク覇権争い

孟晩舟氏(ファーウェイのホームページから)=共同

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 【ワシントン=白石亘、北京=安藤淳】中国の情報通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」創業者の娘の孟晩舟(もうばんしゅう)・副会長兼最高財務責任者(CFO)が、米国からの要請を受けたカナダ司法当局に逮捕された。米中は一日の首脳会談で対中関税の引き上げを猶予し交渉開始で合意したばかりだが、背景には安全保障やハイテク技術を巡る覇権争いもあるとみられ、新たな火種となりそうだ。

 カナダ当局や米メディアによると、孟氏は一日、バンクーバーで飛行機を乗り換える際、逮捕されたという。容疑は不明だが、対イラン制裁違反の疑いがあるとみられ、米国は身柄の引き渡しを求めている。

 中国外務省の耿爽(こうそう)副報道局長は六日の記者会見で「カナダと米国に逮捕理由の説明と即時釈放を強く申し入れた」と述べた。ファーウェイ社は「孟氏が不正行為に関与したとは認識していない。輸出規制や制裁を含む各国の法律を順守している」とコメントした。

 一九八七年に広東省深センで創業した同社は、今年の第二・四半期の世界のスマートフォン出荷量でアップルを抜き二位に浮上。創業者の任正非(にんせいひ)最高経営責任者(CEO)は人民解放軍出身で、中国政府との関係が深いとされ、孟氏は二十五年近く財務を担当し、任氏の後継者と目されている。

 米政府や議会は中国への情報流出など安全保障上の懸念から中国通信機器大手への締め付けを強化。中国政府のスパイ活動に通信機器が悪用されるのを警戒し同社と中興通訊(ZTE)を米政府調達リストから排除。両社のスマホは米軍基地で販売するのも禁止だ。

 背景には、次世代のモバイル通信規格「5G」の基幹ネットワーク整備を巡る欧米との覇権争いもある。同社は低価格を武器に、中東や東南アジア、欧州の一部に攻勢を強める一方、米側は日本など同盟国にもファーウェイ製品の使用自粛を要請。ロイター通信によると、ニュージーランドや豪州は5G通信網の構築に当たって、同社製品の排除を決めるなど、米国主導の包囲網が広がっている。

 トランプ政権は四月、ZTEに対しても、イラン制裁違反を理由に米企業との取引を禁じた。基幹部品を米メーカーに依存するZTEは、経営破綻のふちをさまよい、巨額の罰金支払いを条件にようやく取引再開を許された。これを契機に、中国は基幹部品の国産化を加速させたと言われる。

 中国メディアは孟氏の逮捕を速報。インターネット上では「中国企業への陰謀だ」「すぐに釈放しろ」など抗議の書き込みが相次いでいる。一方、米メディアは「中国は報復のため『人質』を取るだろう。私が米ハイテク企業の幹部なら今週は中国に出張しない」などと対立の激化を予想する専門家の声を伝えた。

 

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