■書 評
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ひとり呑み
[著者]浜田 信郎
WAVE出版
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1470円
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[評者]佐藤 洋二郎
(作家)
■酒、肴、人がいい酒場案内
著者は大衆酒場で「ひとり呑(の)み」をするのが大変に好きな人物らしい。わたしもそのことに関しては人後に落ちないつもりでいるが、この著者は「居酒屋礼賛」というブログも持っていて、相当な酒好きだ。 その人物が飲み歩いた一部が本書で、安くておいしそうな店ばかりを紹介している。実際呑んだ後にかかった金額も書き込まれていて、決して負担にならない値段ばかりだ。高くてうまいのは当たり前だが、ここには安くてうまいという店が満載されている。 立ち飲みやバー、小料理屋などさまざまな店を紹介しているが、そこに集まってくる人々は、酒好き、人好き、肴(さかな)好きだと言い、そのことが三位一体になっている酒場が上等の店だと教えている。また立ち飲みの歴史や、いい酒場の見つけ方なども紹介している。随所に恩着せがましくない、人生訓にも似た言葉がちりばめられていて、著者の温厚そうな人格も、酒によって磨かれているような気がしてくる。 そしていい店というのは酒の値段や味は当然だが、そこで働く者や訪れる客の人間性が加味されて、一層いい味となってくる。著者もそのあたりのことは熟知していて、本書では店主や女将(おかみ)、客筋の人間味に多くを費やしている。酒の味も肴のうまさも、結局は酒場の雰囲気によってできあがってくる。そこのところの酒呑みの嗅覚(きゅうかく)は鋭く、彼らが集まる店は、このことを満たしていると著者は力説する。 はやっている酒場は儲(もう)けようという気持ちよりも、客に楽しんでもらおうという意識のほうが強いとも述べる。ならば酒場経営者にも、ためになりそうな書物だとも言える。 読んでいくと、こちらも訪ねた酒場があり、また行きたくなってきた。酒好きな人は、この本を持参して訪ねるのもいい。居酒屋訪問だけではなく、東京探訪や人間探訪にもなるはずだ。
はまだ・しんろう 1959年生まれ。広島県の造船所に入り、転勤で東京に。ブログ「居酒屋礼賛」主宰。著書に『酒場百選』など。
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