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■書 評

探究する力

探究する力

[著者]市川 力

知の探究社 / 1680円


[評者]森 清 (労働研究家)

■生き方に通じる学びを実践

 知識伝授が主の既存教育を、生き方を学習して身に付ける教育に変えるために、子ども、教師、職業人での「協学の場」を創(つく)ろうと始めた実践報告、その勧めの書だ。

 長く教育は、自発的で自然に学ぶのがいいと言われながら制度と学習環境は知識伝授を主に築かれてしまった。誤りを直すには「人工的に」本来性を復元するしかないと「探究」を軸にした能動的学習法を編み出した。

 その実践は東京・杉並の民家で行われている。生徒は小学生期の子ども二十人ほど。「学びを生き方に結びつけられる人」を育てるという趣旨に共鳴した保護者の物心両面支援で二〇〇四年八月から運営されている。

 学習の柱は「テーマ学習」で、年間に六テーマを学ぶ。一テーマは週に三日、午後の九十分を当て六週行う。「からだに栄養・こころに栄養」で自分たちが元気なのは「ちゃんと、食べる!」「きちんと、うんこ!」と言えるようになった子どもたちに、では食べ物はどのようにしてうんこになるのかと問いかける。子どもたちは消化管の部分模型を苦心して作り、食品成分表を読めるようになって手作りのお弁当で昼食会をする。その上でこころの元気はと揺すぶられ、自分で自分を元気にすることも学ぶ。

 「仕組み」はあるが、個々の子どもたちが自発的に学ぶように導き、支援する。学びの場はスクール外にも求めてプロの仕事に「魅せられる」ように図る。「現地・現物・現人」による実体験を重視するからだ。

 報告された実践は小スクールでのものだが、一般化できるとし、杉並の子どもたちの実践まとめに刺激された佐賀県の小学校が同様の学習をして成果を上げたという。

 内外で初等から成人教育まで社会の多様化や複雑化に応じて新学習法が必要とされ複数の取り組みがある。本書はその動向にも触れて検証し、時代が要請する教育改革へ実践的提言をしている。


いちかわ・ちから 1963年生まれ。東京コミュニティスクール校長。著書に『英語を子どもに教えるな』『日本の英語教育に必要なこと』など。


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