■書 評
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東京詩
[著者]清岡 智比古
左右社
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2625円
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[評者]八木 忠栄
(詩人)
■変貌する都市の生きざま
「江戸」が「東京」と改められてから一世紀半。稀有(けう)な光と闇に満ちたこの大都会に惹(ひ)かれて、近現代の詩人たちが東京を詩歌の主題にしてきたケースは多い。 そうした詩のアンソロジーがかつて編まれたことはあるし、何をかくそう、私もひそかに東京を主題にした多くの現代詩を、手もとに収集したことがある。 本書は単なる詩のアンソロジーではない。東京をうたった詩を掲げた、東京詩による都市論となっている。大和田建樹の「鉄道唱歌」から出発して、宇多田ヒカルの「東京NIGHTS」に至る。収録した五十三人の詩歌をたどりながら、時代の波を受けて変貌(へんぼう)する都市の生きざまに立ち合うという旅路である。 収録作品はいわゆる正統的な詩作品一辺倒ではなく、♪俺は村中で一番/モボだといわれた男…とか、松任谷由実の「中央フリーウェイ」がはさまったりして、幅をもたせた構成となっている。そこに著者の見識が感じられる。また引用詩に微視的にこだわることなく、豊富な援用によって東京が多面的に語られてゆく。 本文中に「詩や小説もまた、『時代の記録』という側面を背負っている」という指摘がある。この言葉に即して言えば「詩もまた、『土地の記録』という側面を…」と換言してもよかろう。 この「土地」とは、ここでは「東京」である。「土地=東京」は「時代」とつり合う重さをもっているはずであり、詩の鑑賞のレベルをさらに突き進めて、時代や土地に深く言及している。 時代とともに、東京は当然のことながら変遷を重ねてきたし、詩人たちがとらえた東京もまた、時代により人によって表情に変化が生じてきている。これこそが著者の言う、大都会の「更新性」というものであろう。 ♪汽笛一声新橋を…のメロディーは、ほら、今もちっとも古びていないではないか。
きよおか・ともひこ 東京生まれ。明治大理工学部准教授・仏文学。著書に『小さな幸福』など。
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