東京新聞
中川鋭之助賞

■平成10年度 受賞者インタビュー

小嶋直也さん
より高く、より美しく 米国経験で一段と磨き
 「バレエで賞というのは少ない。もらいたくてももらえないものと思っていた。実感はまだないけれど、授賞式で賞の内容や重みをあらためて感じた時は『うわぁーっ』となっちゃうんじゃないかな」

 東京新聞が若手舞踊家に贈る中川鋭之助賞を受賞したバレエダンサーの小嶋直也(27)は、思いがけない受賞に、はにかんだ笑顔を見せた。

 稽古(けいこ)好き。健康法も「稽古」なら、リラックス法も「稽古と寝ること」と言い切り、稽古場にいると落ち着くという。「バレエ以外のことに体力を使うのはもったいないと思ってしまう」ため、オフでも外出することはまれだ。

 野球少年だったが、10歳の時、母親の主宰するバレエ教室でバレエを始めた。中学卒業を機に長野県から上京し、牧阿佐美バレエ団へ。平成2年に「くるみ割り人形」で初めて主役を務めて以降、国内外のバレエフェスティバル参加、数多くの主演舞台を重ね、着実に才能を開花させてきた。

 4年前には日本人として初めてアメリカン・バレエシアターにソリストとして参加。この経験が「人に弱みを見せない」という教訓を与えてくれた。「アメリカでは、気持ちの切り替え、集中力がすごい。だれもアドバイスはくれず、すべてを自分の力で会得していかねばならない」

 昨年から東京・新国立劇場の契約ダンサーになり、同劇場開場記念の「眠れる森の美女」などに主演した。今年5月には「白鳥の湖」の主演ステージが待つ。

 「バレエには、終わり、到達点がない。そこが魅力です。何でもこなせる幅広いダンサーになりたい」と抱負を語る。

 現役は40歳まで。「そう区切ると、あと13年しかないと思うから、なおさら、今、頑張れるでしょ、だから、ねっ」

 華麗な中にもクールさを失わないステージ上の顔とは違って、その素顔はよくしゃべり、よく笑う陽気な青年だ。

(坪坂美智代)

(1998年3月26日・東京新聞)

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