東京新聞
中川鋭之助賞

■平成28年度 受賞者インタビュー

中川鋭之助賞受賞のバレエダンサー 奥村康祐さん(31)
奥村康祐さん

 母、地主(じぬし)薫さん主宰のバレエ団のレッスンに通い始めた妹、唯さんのお供をさせられた。レッスンの間、近くの本屋でブラブラしていたが、退屈だし、両親も不安を覚え、「おまえもやってみろ」と言われたのが、きっかけという。5歳のころである。

 10歳ぐらいでコンクールに出るようになり、同世代の子どもと出会った。「みんなうまかった」。高校時代の発表会で主役を踊り「一生懸命やると、面白さが深くなった」とバレエ一筋に決めた。周囲の反対もあったが、大学には進まなかった。「退路を断ちたかったんで…」。柔らかい大阪弁の語り口と裏腹に、心(しん)の強さと情熱をのぞかせる。

 2人で踊るパ・ド・ドゥで相手役の良さを引き出す演技が特に評価された。「いろんな個性を持った相手役と、たとえ言葉が通じなくても踊りを通じて会話し、相乗効果を生み出すんです」という。

 「できる限り一線で踊っていたい」と抱負を語る。鑑賞へのアドバイスを求めると、「古典は作品の背景まで調べてから、みてください。知るほどに深みが増すと思います」。海、川で釣り糸を垂れるのが息抜き。 (仁賀奈雅行)

(2016年3月11日・東京新聞)

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