東京新聞

第4回

VS 俳優

 現代の諸問題を映す演劇の舞台に立つ役者たちは、社会のことを紙の上に表現する新聞について、どんな意見を持っているのでしょうか。「東京新聞にダメ出し会議」の4回目は、東京を中心に活躍する若手演劇人のみなさんにご登場いただきました。(敬称略)

左からナカムラユーキさん、松原夏海さん、埜本幸良さん、菊池美里さん、長島美穂さん
左からナカムラユーキさん、松原夏海さん、埜本幸良さん、菊池美里さん、長島美穂さん

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若い人向けの情報が少ない

──どこを読みましたか?

ナカムラ  自分にない感性が見出しにあると引き込まれます。(四月七日付夕刊一面「この道」の)『能力の死刑』の見出しは、いい。役づくりの肥やしにするため、ルポとか犯罪記事も読みますね。

長 島   一面です。新聞社がいま何を重視し(紙面構成し)ているかを考えながら、最初から読みたいなって思います。

埜 本   過激派組織「イスラム国」とか、航空機事故とか、世界の話題が気になる。見出しを見て、手に取る。人にスポットライトが当たっている記事も、探して読むかな。もっと用語の解説があるといい。

菊 池   テレビの週間視聴率。最近世の中でどんな番組が見られているかなと。ほかにも読まないといけないとは思っているんだけど…。

松 原   若い人向けの情報が少ないですよね。私たちは自分に近い年代の人のことを知りたいんですよ。記事ではお年を召した方向けの話が多くて「自分には遠い」って思っちゃう。

 

小劇場もっと取り上げて

──新聞のイメージは?

ナカムラ  政治や経済の話はそうだね。硬い記事は、内容が難しい。事実をもっと分かりやすく書いてほしい。サブカルチャー情報が少ない。

菊 池   自社の論点に沿った方向に持って行こうという感じがして警戒感が起きる。記事量がすごい(多い)と圧倒されてしまう。短い方が読みやすい。

長 島   平和に関する記事は読みたい。私には幼い子どもがいる。子どもを絶対に戦争に行かせたくない。ただ、記事の内容は偏らず、客観的な情報だけを伝えてほしい。

松 原   新聞は、働いていて忙しい人やお年寄り向けに作られている。若い読者である私たちのことも見て。

──アイデアはありますか?

埜 本   九十歳の人がこういう人生観で生きているとか、「わたしの夢」だとか、その人の目線が感じられる記事がいい。

ナカムラ  「人」が見える記事はウキウキする。年間を通して一人のストーリーを追いかけるような企画とか。小劇場の公演情報を写真付きで特集するのもいい。

長 島   小劇場をもっと取り上げてもらうと年配の人(読者)にも興味を持ってもらえるし。あとは、「東京新聞」の題字デザインを募集しては。(新聞と読者を)近づけるきっかけになる。

松 原   子どもが好きなので、母の日に子どもから絵を募集するのもいいかな。

「未来に残すぜ」の心意気で

──期待すること

松 原   テレビやネットと違って新聞は残るじゃないですか。三十年後に振り返ったらこういう日本だったとか。分かりやすい日本の記録になってほしい。

 

埜 本   政治学をやっている人が「昔からの新聞を読むのが仕事だ」と言っていた。新聞はちゃんとした文献になり得るはず。そのつもりで書いてほしい。未来に残すぜ、みたいな。

 

ナカムラ  新聞は(習字や下書きの)清書みたいなもの。雑誌やテレビとかが流行をつくろうとしているのとは違う。

 

長 島   正しい事、その時に起きた事柄が載る正統な物であってほしい。でも、新聞は上級生みたいでとっつきにくい。近寄れるきっかけがほしい。

 

菊 池   ネットって情報がねじ曲がっていることが多い気がする。新聞も情報が偏っていたり都合のいいことだけ言ってる所がある。読む人がちゃんとしないと。読んで勉強します。

ダメ出しされて

出田記者の写真

 威張ってる上級生には話し掛けにくい。仲良しの友達に悩みを相談するように、社会をもっと深く知る手段として、新聞を便利に使ってもらうにはどうしたらいいだろう。そう感じた。主張が「洗脳」に思われちゃうのは、えらそうだからだな。

出田阿生(いでた・あお) 東京都出身。大学で演劇に挑戦するも、顔から火が出るダイコンぶりだったため、その後は鑑賞専門。特別報道部などを経て現在は文化部。1974年生まれ。

 政治や経済の「硬い話」の担当が長い。中立公正は肝要だが、半面、事実の羅列だけの記事では無味乾燥になると悩みもする。政府や企業の広報と大差ないなら、新聞じゃない。客観的で分かりやすい、事柄の本質を突いた記事をどう書くか。皆さんの声を胸に考え続けたい。

石川智規(いしかわ・とものり) 東京都出身。実は作家になりたかったが、大学恩師から「ジャーナリストを目指せ」と薫陶を受け、新聞記者に。政治部。1976年生まれ。
「ダメ出し会議」は東京新聞最終面で、毎月第二日曜日に連載中
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 「研究所」といっても会社に部屋があるわけじゃありません。東京新聞をもっとよくするアイデアを実現していこうと有志で集まった若手社員たちが、ときどきどこかで自由に話し合う。そんなゆるやかなチームです。テーマは「新聞に、未来はある」