東京新聞

第5回

VS スマートニュース

左から塩沢彩さん、松浦茂樹さん、西岡悠平さん、上島幸直さん、田尻愛さん
左から塩沢彩さん、松浦茂樹さん、西岡悠平さん、上島幸直さん、田尻愛さん

 最先端のデジタルメディアに携わる人たちは、アナログな紙の新聞をどう見ているのでしょうか。「東京新聞にダメ出し会議」の5回目は、世界中から集めた情報をインターネットで配信している「スマートニュース」で働くみなさんに聞いてみました。

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新聞の大きさ うらやましい

──東京新聞、読んでみてどうですか。

松 浦   これ(ビジュアル夕刊・土曜随時掲載)は新聞ならでは。原寸大はスマホじゃ表現できない。この紙面の大きさがうらやましい。渋谷区長選など地域の話題を手厚く扱っていて、全国紙では見えないものが分かる。

 

西 岡   新聞読むのは数カ月ぶり。いいですね。いろんな情報がわっと入ってくる。欲を言うと、「合コンでモテるには」みたいな下世話な話も読みたい。

上 島   驚くほど面白い。東京の話だけでなく、人生を考えさせる話や文化の話題などバリエーションが豊か。一面に政治漫画が載る日もあって、目がいく。

田 尻   ネットで読むニュースは自分の興味の範囲内が多いが、新聞はノイズ(自分が欲しかった以外の情報)があるのがいい。「あっぱれ銭湯」のようにゆるい感じの記事も、おしゃれな女性雑誌っぽい。

塩 沢   豊島区の「切手の博物館」のように、若者が行っても楽しい施設の情報が多くて面白い。

女子受けするかがポイント

──ずいぶん褒められました。足りないところは。

西 岡   スマートニュースと比べて広告は多いのに、うまく入れ込めていない印象。記事との境界がはっきりしていて、読者の目に入らないのでは。

田 尻   男性向けだなと思う。インクで手が汚れるという障壁を乗り越えてまで女の子が読みたいコンテンツがあるかどうか。最終面「私の東京物語」に登場したアイドルのように、アイコン(あこがれの対象)が毎日載ってれば読みたいかも。

松 浦   お手軽に読める女子コラム、恋愛コラムがあってもいい。エモーション(感情、感動)のある記事は、人と人をつなぐ話の種になると思う。

上 島   クラシック音楽が好きで演奏会に行くが、若者客が少ない。メディアの役割は大きい。新聞でもっと取り上げて。単なる演奏会報告ではなく、生き方に焦点を当てたインタビュー記事なら、普遍性があって誰でも楽しめると思う。

塩 沢   新聞は実家や祖父母の家にあるもの。都内の散歩スポットや美術館の展示会情報がもっとあれば、親や祖父母と一緒に読めてコミュニケーションも深まる。

「やっぱり紙でしょ」の流れを

──若者の新聞離れが叫ばれています。ネットと共存できますか。

田 尻   若い世代にはウェブで記事の内容を少し知らせて「でも紙面の方が深いよ」と紙に導いては? 新聞文化に共感する女の子を中心に「ニュースはやっぱり紙でしょ」っていう流れを作り出すのがいいのでは。

西 岡   ネットユーザーをうまく巻き込んで紙面づくりをすれば、取材コストも抑えられる。

松 浦   お金をかけてちゃんと書かれた記事が世の中からなくなるのはわれわれも困る。一方で、経費をかけずに多様な声を集めるためにインターネットを活用するのはありだと思う。優良なコンテンツを作っている皆さんをリスペクト(尊敬)している。読者に良質な情報を届けたいという思いは皆さんと同じです。

ダメ出しされて

木谷記者の写真

 「良質な情報を届けたいという思いは皆さんと同じ」という言葉が強く印象に残った。インターネットを、新聞から読者を奪うライバルと考えるのは、もう古いのだろう。私たちも意識を変えなければと思った。

 木谷孝洋(きや・たかひろ)長崎県出身。愛知県内の支局などを経て昨年8月から政治部。スマートニュースは1年ほど前から活用。32歳。
藤川記者の写真

 新聞社はまだまだ男社会。「新聞は男性向けだなと思う」と、24歳の田尻さん。どうやら女性目線が足りないようだ。「どうすれば」と尋ねると、「女の子といっぱい話したら?」。妻に教えを請うとしよう。

 藤川大樹(ふじかわ・ひろき)静岡県出身。大津支局を皮切りに、経済部などを経て現在は外報部。デジタル機器にも女心にも疎い35歳。
「ダメ出し会議」は東京新聞最終面で、毎月第二日曜日に連載中
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