東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 特定秘密保護法案 > 衆院委12日間の政府答弁

ここから本文

【衆院委12日間の政府答弁】

 二十六日の衆院本会議で可決された特定秘密保護法案。多くの課題が指摘される中、政府はどのような答弁を重ねてきたのか。衆院国家安全保障特別委員会での十二日間、約四十四時間にわたる全審議の主な答弁をまとめた。

写真

◆違法行為は指定せず

 【特定秘密の範囲】

 町村信孝氏(自民) 無制限に広がるとの議論がある。

 森雅子内閣府特命担当相 従来の秘密の範囲を拡大するものではない。(八日)

 山田宏氏(日本維新の会) 特定秘密を指定できる行政機関を限定すべきだ。

 安倍晋三首相 恣意(しい)的な秘密指定を防ぐため、権限を有する行政機関を限定すべきなのは当然だ。有識者会議の意見に謙虚に耳を傾け、できる限り限定すべく適切に判断したい。(二十六日)

 辻元清美氏(民主) 違法なことを隠すため特定秘密指定してはならない。

 森氏 違法行為の指定はあり得ない。違法行為を暴こうとして取得、取材した場合、処罰されることはない。(十九日)

 中山泰秀氏(自民) 文書などでなく、人の頭の中にだけある知識は保護対象か。

 鈴木良之内閣審議官 文書などで具体的な形となった情報以外は、対象外という原則だ。(二十日)

◆首相、第三者的に確認

 【第三者のチェック】

 大口善徳氏(公明) (修正案では)首相が行政各部を指揮監督し、特定秘密の指定や解除をチェックする。

 安倍氏 恣意的指定や解除は決してあってはならない。各大臣の秘密指定などについて、首相は第三者的に確認を行うことが可能だ。(二十六日)

 近藤昭一氏(民主) 指定が適正に行われているかチェックする第三者機関の検討は。

 安倍氏 適正さを確保するため、内閣官房に法律施行に向けた準備室をつくり、必要な検討を始める。検討結果を踏まえ、必要な措置をとる。(二十六日)

 山田氏 第三者機関は検討だけでなく、設置するのか。

 安倍氏 設置すべく努力する。私は設置すべきだと考えている。(二十六日)

 町村氏 国会が政府から特定秘密の提供を受ける場合、秘密保護のため国会法などの改正が必要だ。

 安倍氏 秘密保護に関する方策は国会において検討し、必要な措置を講ずることになっている。国会で議論し検討いただきたい。(二十六日)

◆原則公開も例外あり

 【秘密指定の解除】

 長島昭久氏(民主) 三十年を超えて秘密指定期間を延長するために内閣の承認を得る際、理由を公表するか。

 鈴木氏 公表を予定している。(十四日)

 山田氏 秘密指定が解除されたら、その情報は開示されるか。

 安倍氏 一定期間経過後は全ての情報公開が原則で、全ての文書を国立公文書館等に移管する。全ての文書について秘密指定の是非を含め検証が可能だ。暗号や人的情報源に関する情報など例外中の例外をのぞき、(指定期間は)六十年を超えることができない。(二十六日)

◆取材の自由で答弁迷走

 【報道の自由】

 寺田稔氏(自民) 報道、取材の自由に配慮するとした規定の拘束力は。

 森氏 単なる訓示規定ではなく、行政運用の解釈指針になる。通常行われている報道、取材行為は処罰対象にならない。(十五日)

 大口氏 報道機関のオフィスに「ガサ入れ」(家宅捜索)すると著しい「取材の自由」の侵害になる。

 森氏 国民の「知る権利」に資する報道や「取材の自由」をしっかり尊重すると同法案の条文に規定した。報道機関のオフィス等にガサ入れすることはない。(八日)

 大口氏 報道機関への捜査は。

 谷垣禎一法相 あくまでも具体的な事例に即し、検察で判断すべきものだ。(国民の知る権利と取材の自由に配慮するとした)法案の趣旨を生かした捜査が展開されると思う。(十一日)

 丸山穂高氏(日本維新の会) (家宅捜索をめぐる)森氏の答弁は他の閣僚と食い違っている。

 森氏 個別具体的な事案については申し上げられないと答弁している。谷垣氏の答弁と全く同じだ。(十四日)

 井出庸生氏(みんなの党) ブログで社会問題を論評している芸能人は、法案が報道の自由に配慮すべきとした「出版・報道の業務に従事する者」に該当するか。

 鈴木氏 不特定多数に客観的事実を知らせたり、これに基づき意見や見解を述べたりする場合は該当する。(十五日)

◆教唆は秘密認識必要

 【不当な情報取得】

 寺田氏 外務省機密漏えい事件の取材は、処罰対象となる「著しく不当な方法」による取材に該当するのか。

 鈴木氏 過去の個別事案については答えを控えるが、取材対象者の人格の尊厳を著しくじゅうりんし、手段や方法が社会観念上、是認できない不相応なものである場合には該当する。(十二日)

 浜地雅一氏(公明) 教唆行為にあたる場合は。

 鈴木氏 教唆行為が成立するには、漏えいを唆した対象に特定秘密との認識が必要だ。(取材)相手から明示的に特定秘密だと伝えられない場合でも、(捜査当局などが)客観的状況から特定秘密だと認定できる場合、特定秘密の認識があると判断されることがある。(十二日)

◆思想信条 調査しない

 【適性評価】

 赤嶺政賢氏(共産) 特定秘密を取り扱うための適性評価で、本人や家族の思想や信条に関する情報を収集することが可能になるのではないか。

 森氏 適性評価の事項は限られている。思想や信条は調査しない。(二十一日)

 今村洋史氏(日本維新の会) 閣僚らは対象外だ。政治任用ならば、どんな者であっても適性評価を受ける必要がないということか。

 鈴木氏 特定秘密の保護に責任を持つにふさわしいとの判断で(首相が)政治任用している。それを尊重したい。(二十一日)

 近藤氏 評価対象者の配偶者が外国籍との理由で特定秘密を扱えないなら、重大な人権侵害だ。

 森氏 調査結果を総合的に判断する。配偶者の国籍だけで特定秘密を漏らす恐れの有無を判断するわけではない。(十五日)

◆国民の懸念、耳傾ける

 【制度見直し】

 城内実氏(自民) 不断に改善していく努力が必要だ。

 森氏 他党からのさまざまな意見にも耳を傾け、法案成立後も改善を尽くす努力と説明を果たしていきたい。国民の知る権利に対する報道機関や国民の懸念には真摯(しんし)に耳を傾けて丁寧に説明していく。(十四日)

 後藤祐一氏(民主) 現行制度では何が不十分なのか。

 森氏 各省の秘密に関する基準が必ずしも統一されていない。漏えいした場合の処罰規定も諸外国並みになっていない。(十四日)

◆本会議、各党の討論要旨

 26日の衆院本会議での各党の賛成、反対討論の要旨は次の通り。

 ▽懸念に応えた

 岩屋毅氏(自民、賛成)日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。的確な政策判断のためには安全保障に関する情報の獲得と保全が重要だ。特定秘密が恣意(しい)的に指定されるとの懸念があるが、各党の対案に耳を傾け修正し、恣意的運用を防ぐ重層的仕組みを設けた。懸念に応えるのに十分な内容だ。国と国民の安全確保のため、必要不可欠だ。

 ▽立法府軽視だ

 長島昭久氏(民主、反対)委員会質疑を打ち切り、民主との修正協議を頓挫させたのは政府の強引な姿勢にある。福島の地方公聴会で慎重審議を求められた翌日の強行採決だ。修正案を共同提出した政党(日本維新の会)が欠席したのは前代未聞。異常な環境で重要な法案を強行するとは立法府軽視も甚だしい。参院では熟議を重ね、さらなる修正の努力を求める。

 ▽不安受け修正

 畠中光成氏(みんなの党、賛成)国家安全保障会議(日本版NSC)において適切に政策判断するには、政府内や諸外国との間で情報共有促進が不可欠だ。秘密保全に関する制度を法的基盤に基づく確固たるものにすることが重要だ。国民からの不安や疑問の声を受け止め、秘密の範囲が際限なく広がらないよう修正した。法成立後の運用が法の趣旨から逸脱し、国民の権利が侵害されないよう注視する。

 ▽国民弾圧立法

 赤嶺政賢氏(共産、反対)憲法の基本原理を根底から覆す希代の悪法だ。特定秘密の指定が政府に委ねられ、恣意的判断で決められることも問題だ。秘密の指定期間が原則30年から60年にまで延ばされ、永久秘密になる恐れもある。最高刑として懲役10年を設けて国民を監視し、取り締まる弾圧立法だ。日米安保の秘密を拡大させるためのものにほかならない。

 ▽恣意的指定も

 玉城デニー氏(生活の党、反対)国会日程を優先させ、慎重審議を求める国民の願いを振り払い、採決を強行する政府、与党の横暴ぶりは国権の最高機関の権威を汚すものだ。法案では行政が秘密指定できる情報の範囲が広く、恣意的指定もありうる。知る権利や報道、取材の制限、プライバシーの侵害などを強める内容だ。断固反対する。

 

この記事を印刷する

PR情報